以前も書いたが、博奕は引き際が難しいと言われる。その引き際の判断は博奕に限らず株式投資でも同様で、見込みと違った場合の手仕舞い=「損切り」が出来るかどうかで投資成績は違ってくるものである。
カジノを例にとると、素人は「せっかくカジノに来たのに、プラマイゼロで帰れるか!」とか、「まだ半分残っている。損を取り返さなきゃ!」と考えて、ズルズルと嵌まってしまいがちである。しかしプロはこう考える。「今日はツキが無かった。出直すか」「残り半分は明日のタネ銭、今日は引き揚げよう」・・・と。
この伝でゆけば、昨日19日のニュースでトヨタ自動車が東京オリンピックに関連する国内テレビCMを見送るという件も、「損切り」のお手本と見做せるかも知れない。
ロイター7月19日配信記事↓
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トヨタ、国内で五輪関連CM放映せず 社長ら開会式欠席へ
(https://jp.reuters.com/article/toyota-olympic-idJPKBN2EP0CR )
[東京 19日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピック大会の最高位スポンサー(ワールドワイドパートナー)であるトヨタ自動車は19日、国内で五輪関連のテレビCMを放映しない方針を明らかにした。無観客開催の決定も踏まえ、豊田章男社長を含むトヨタ関係者は23日の開会式などへの出席も見送る予定だ。(以下略)
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同内容の読売記事では、同社担当役員が「色々なことが理解されていない五輪になりつつある」とも語っている。オフィシャルスポンサー中の最高位スポンサーだが国内世論に配慮して、「もうこれ以上五輪に関わらない方が良い」という経営判断なのだろう。
もちろん巨額のカネを支払っている筈だが、それは「損切り」分としてカウント。決断先送りで撤収出来なくなれば五輪と心中で企業イメージのガタ落ちは免れないのだから、賢明な判断ではある。
但し注意すべきは「国内で」という点だ。
トヨタ自動車(株)の有価証券報告書(2021年3月期)によれば、連結会計年度における「自動車事業」の車両 (新車)地域別販売数量は下記の通りである。
日本 2,125,121 台
北米 2,312,799 台
欧州 959,363 台
アジア 1,222,073 台
その他 1,026,749 台
計 7,646,105 台
日本以外での新車販売比率は約73%。つまり日本国内で五輪関連のテレビCMを無理に流さなくても問題は無いと判断した可能性がある。
更に驚いたのは、日本経済新聞7月19日配信記事。
↓
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トヨタ、五輪関連国内TVCM見送り 最高位スポンサー
(https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=106&ng=DGXZQOFD1931Q0Z10C21A7000000 )
トヨタ自動車は19日、東京五輪に関連する国内でのテレビコマーシャル(CM)を見送る方針を明らかにした。
(中略)
トヨタは当初から五輪向けの企業PRを目的としたCMは予定しておらず…
(太字は筆者、以下略)
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「トヨタは当初から五輪向けの企業PRを目的としたCMは予定しておらず」とあるので、もったいぶって「国内で五輪関連CM放映せず」と発表したのは国内世論向けに「五輪と距離を置く」PRで企業イメージを逆に上げようという寝技的な策ではないだろうか?
そうであれば真に見習うべきは、「損切り」どころか「損して得取れ」「災い転じて福となす」というトヨタの図太い狡猾さ(失礼)ということになる。
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