ホー氏率いるSTDMが1961年のマカオ政府による公開入札でカジノ営業権を独占入手。以来、1999年12月マカオがポルトガルから中国に返還された後、中国政府とマカオ当局が2002年にカジノの経営権を3つに分割して公開入札とするまでの約40年間にわたるSTDMのマカオ支配の象徴的存在だったのが、カジノホテル「リスボア(葡京酒店)」であった。
(リスボア・ホテル)
しかし近年はラスベガスの米国資本や香港勢らの参入によるマカオの「ラスベガス化」で、誰の目から見ても影が薄くなっているカジノホテルのひとつとなってしまった。
先般久しぶりに宿泊してみたが、地下のカジノ入り口付近とショッピングエリアに跳梁跋扈する“回遊魚(売春婦の隠語)”の群れは相変わらずで、何故か逆にホッとした。そう、ここにはかつてのマカオの猥雑さが生き残っているのである。
<博打に狂った中国人の牙城「カジノ・リスボア」>
さて、このリスボアは「カジノ」と云うよりも、中国語の“賭場”という単語がピッタリである。いや、もっと正確には「鉄火場」かも知れない。
今でこそ米Sands社やWynn社、香港ギャラクシー社などが進出してスマートな趣きが主流となったマカオのカジノシーンだが、ここは何年経ってもベタな雰囲気のままである。もっとも、それ故に根強いファンが多いのも事実。
客の華人系比率はおそらく99.9%。
ディーラーの客に対する態度は十年前までは横柄、無愛想。そして今は一転して、他のカジノよりもローカルでフレンドリーな“おばちゃんディーラー”多数。ただし広東語が判れば…の話だが。
場内は殺気立った中国人たちの怒号と歓声で充満している。
相変わらずのこの雰囲気では、白人客が寄り付く筈もない。事実、白人や中東系、黒人客は殆どサンズやベネチアン、MGM、そしてウィンで見かける。
洗練された「サンズ・マカオ」が出来るまで、私はここと回力娯楽場(香港行きフェリーターミナル近く)の二大ベタカジノで鍛えられた。しかし今となっては、ハッキリ言ってカジノ初心者の日本人の皆さんには全くお勧めできない場所である。
どうしてもリスボアで博打を打ちたい人にアドバイスするならば、場内での挙動不審行為は慎むべきで、ここは他のカジノよりも場内の「地回り」の兄さんの数が多いような感がある。STDMから管理を任されている組の若い衆である。
これは推測だが、ここの根強いファンは老練なプロ級の賭人が多いようで、カジノ側も警戒が強いのではないか。以前書いた“左翼系ギャンブラー”森巣 博氏もここがお気に入りらしい。しかし私としては、隣に出来た「グランド・リスボア(新葡京酒店)」のカジノの方が広いし、変な難癖つけられる心配が無いと思うのでお勧めである。
(グランド・リスボア)
リスボア周辺には数多くの質屋(中国語で“押”と書く)が存在しているのも特徴の一つで、店頭に飾られているダイヤモンド付き金無垢ロレックスの列を眺めているだけで、博打に狂った中国人が如何に多いかがわかる。また近隣のビルには、昔から自殺の名所になっている所がある。文字通り、命を賭けた博打をやっている連中が相当数いるのである。
1999年の返還前後はヤクザ(黒勢力)の抗争で極度に治安が悪く、リスボア周辺も短機関銃を携行した警官が大人数で警戒に当たっていたが、黒勢力が表から消え、サンズやウィンなどのラスベガス勢が進出したことで相当浄化された。おそらく新宿や六本木よりも安心して歩ける地域だと思う。
橋下維新のカジノ構想の中で「カジノとその周辺の治安対策」「カジノ利権に群がる反社会的勢力への対策」に関しては、今のところ明確に打ち出されてはいないようである。
しかしながら日本でカジノ、特に大阪では絶対に必要なのが「対暴力団対策」。カジノ法案を可決する前に反社会的勢力の掃討を徹底させなければならず、もし拙速にカジノ関連法案が審議されてしまうようならば、必ずや将来に禍根を残す事となるだろう。
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