賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

マカオ:カジノ各社の広告から中共の影響力を垣間見る

 
去る123日にマカオ政府が発表した2013マカオ訪問者数の最新統計によると、対前年4.4%増の2,9324,822人を記録している。世界一の歓楽街・ラスベガスの旅行客数を抜いて数年、マカオの勢いは一向に衰えない。
 
そのマカオ19991220日にポルトガルから中国に返還されて、14年が経つ。返還と同時にマカオ中共の下で、香港と同じく「一国両制(一国二制度)」の「澳門特別行政区」となり、現在に至っている。
 
現地の新聞広告や雑誌広告も返還14周年を祝う内容で溢れていたが、中でもマカオ経済の中核を担うカジノ各社の慶祝広告が派手だった。そして中身をよく見ると、各社のマカオに対するスタンスが判って面白い。
 
まず、地元企業である澳門博彩股份有限公司SJM。ここは賭王(ゴッド・ギャンブラー)と称される何鴻(スタンレー・ホー)氏率いる澳門旅遊樂股份有限公司STDM)の100%子会社。
 
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次いで、香港の銀河娯楽股份有限公司(ギャラクシーグループ)マカオ半島のカジノホテル、スターワールド ホテル(澳門星際酒店)と、コタイ地区の巨大複合リゾート施設「ギャラクシーマカオGalaxy Macau Resort澳門銀河)」を経営する。
  
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以上の2社の広告で特徴的なのが、澳門回帰祖国14周年という文言。SJMのスタンレー・ホー氏とギャラクシーの総帥・呂志和会長は共に華人であり、中共とも太いパイプを持っているのだから、当然と云えば当然である(但しスタンレー・ホー氏の曽祖父はユダヤ系オランダ人)。
 
対照的なのがラスベガスやオーストラリアなど外資系のカジノで、マカオの中国返還を祝う表現ではなく、澳門特別行政区成立14周年を祝うという文言になっている。
 
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威尼斯人股份有限公司Sands社、アメリカ・ラスベガス)
 
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永利度假村股份有限公司Wynn社、アメリカ・ラスベガス)
  
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新濠博亞股份有限公司MelcoPBL社、マカオと豪PBL社の合弁)
 
特に新濠博亞のローレンス・ホー会長はスタンレー・ホー氏の息子なのだが、合弁企業と云う立場なのかマカオ特別行政区成立14周年」 でOKなようである。
 
そもそもマカオ特別行政区の成立は、マカオポルトガルから中国へと返還されたことに伴う措置なので、「マカオ特別行政区成立14周年」を祝うというのは「マカオの中国返還」を祝うという事と同じ・・・という理屈らしい。
 
しかしながら「澳門回帰祖国14周年」と「澳門特別行政区成立14周年」、両者は違うようでいて中身は変わらないし、また同じようでいて微妙にスタンスが違う文言ではある。
 
マカオは香港と同様に50年間、「一国二制度」で独自の行政府による統治が認められている。香港では「港人治港」、マカオでは「澳人治澳」となる。
 
しかし香港では、「党人治港」と揶揄されるように中国共産党の支配が露骨になりつつある。マカオもそうなるとしたら、先ず上記の広告に中国共産党の「指導」が入り、表現の制限と統制が行われるだろう。
 
広告と云うものは時代のバロメーターとも云われる。そして香港やマカオでは、中国の影響力の増減を測るバロメーターにもなっている。今後も注視してゆきたいものである。
 
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