賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

ナチスと中国は深い仲

 
中共王毅外相がドイツをネタにして、おそらくは意識的に頓珍漢なことを言っている。
 
読売新聞382130配信記事↓
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中国外相「日本、第2次大戦後のドイツ手本に」
 【北京=五十嵐文】中国の王毅外相は8日に北京で開いた記者会見で、対日政策について「歴史と領土で妥協の余地はない」と強調するなど、歴史問題や沖縄県尖閣諸島をめぐり対日強硬姿勢が目立った。
 昨年の外相就任以来、全国人民代表大会で初の記者会見に臨んだ王氏は、尖閣諸島を念頭に「我々のものでなければ少しも欲しがらないが、我々のものであれば、一寸の土地でも必ず守る」と主張した。
 さらに、安倍首相が現在の日中関係を、第1次世界大戦で戦う前の英独関係になぞらえたとして波紋を広げた発言について質問され、「第1次大戦前のドイツの問題を取り上げるより、第2次大戦後のドイツを手本にした方がいい」と述べた。ドイツがナチス・ドイツ時代を深く反省しているのに対し、日本は戦後秩序に挑戦しているとの主張だ。
(以上引用)
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そもそもナチス・ドイツと深く関係していたのは中華民国である。かつて明治維新後の我が国はフランスをモデルにした陸軍兵制であったが、普仏戦争に於けるプロシャ(ドイツ)の勝利でドイツ式に切り替えた経緯がある。同様に中華民国も建国以来、軍事だけでなく民生や経済分野でドイツを手本にしていた。また1930年代のドイツ指導部には、親中派高官が結構いた。
 
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中華民国陸軍制服の資料本。表紙イラストはドイツ軍装備の中国兵)
 
中華人民共和国中国共産党は建前上であっても中華民国の後継を自称しているのだから、当然ナチスとの関係についても責任を引き継がなければならない訳である。
 
ヒトラーが政権を取って以降関係も深まり、各分野で多くのドイツ人顧問がシナに渡ったが、中でもドイツが力を入れたのが軍事分野での支援であった。
 
ヒトラーを支持したドイツ国防軍ゼークト大将193335年の間、二回訪支して蔣介石に様々な軍事アドバイスを行っている。もちろん背景には中華民国への兵器等軍事物資の販売、軍事産業の技術移転、そしてシナからの希少金属タングステンモリブデンアンチモン等)購入という意図があった。
 
(※ 満州事変以降1945年までのシナ大陸における各国の思惑と行動の背後には、このタングステンなど希少金属の争奪が絡んでいた。特に香港、マカオ、広州などの南支一帯がその舞台となった。あの硫黄島で戦死した栗林忠道中将も南支の第二十三軍参謀長時代、様々な経済工作に関与している。)
 
そして1936年4月に独支両国は、中華民国軍への兵器供給とその見返りの希少金属供給を謳った「ハプロ条約」を締結。同時にドイツ国防軍の現役将校らによる軍事顧問団が派遣され、中華民国軍の近代化にあたった。
 
ドイツ軍事顧問団は兵制、戦術や野戦築城技術を指南し、軍需産業各社は駐在員を置いて戦車から一般装備品に到るまでの兵器の売り込みに努めた。台北国軍歴史文物館に展示されているドイツ軍型ヘルメットがその辺の事情を雄弁に物語っている。駐在員(セールスマン)などは南京における例のラーベが代表例である。
 
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台北・国軍歴史文物館)
 
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(ドイツ軍型ヘルメット)
 
昭和12年の第二次上海事変に於ける日本陸軍の敵前上陸では、日本軍はクリークと中国軍の防御陣地に苦しめられたが、この中国側の野戦築城を指導したのがドイツ軍事顧問団であった。ドイツ軍が最初に開発した1号戦車や2号戦車、37ミリ対戦車砲中華民国軍に採用され、日本軍を苦しめた(そんなドイツと同盟を結んだのだから、阿保な話ではある)。
 
また蔣介石の次男(養子)である蒋緯国1936年渡独してドイツ陸軍士官学校を卒業。そのままドイツ国防軍に勤務し、第二次世界大戦の引き金を引いたポーランド侵攻作戦にも参加している。ドイツ軍制服姿の写真が残っており、なかなかの男前である。中華民国軍の陸軍大将で退役後1997年に死去。李登輝政権では総統府顧問を務めたことで知られている。
 
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蒋緯国にはナチスポーランドでの虐殺への関与も疑われている。但し裏付け資料が不十分であり今後の研究が待たれる。ポーランド政府はかつて北京五輪に際して開会式の不参加を決めたが、昔からポーランドは嫌中親日の傾向があって蒋緯国の件も関わりがあるのかも知れない。
 
(※ ちなみに戦前・戦中、ポーランド軍情報部と深い信頼関係にあったのが外務省の杉原千畝。「命のビザ」発行でユダヤ人六千人を救った人物である。)
 
興味深いのが1943年の東部戦線における一枚のドイツ軍戦車の写真である。
 
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ユダヤ人虐殺の実行者として知られるナチス・ドイツ武装親衛隊(SS)の第2装甲師団「ダス・ライヒ」所属、タイガーⅠ型重戦車の正面装甲(写真の左面)に、漢字の「福」が逆さまに描かれている。「倒福」と云ってシナの伝統的な幸運を呼ぶジンクスだが、中華民国に軍事顧問として派遣されていたドイツ軍人が伝えたらしい。
 
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(某社の模型シリーズで発売されている)
 
中共人民解放軍は党の軍隊であって国家軍ではない。ヒトラーの私兵部隊だった武装親衛隊(SS)のコピーのようなものである。むしろドイツ第三帝国の方が、国家軍=ドイツ国防軍と私兵軍団=ナチス武装親衛隊の二種類の軍隊があっただけマシかも知れないのだ。
 
ところが中国の歴史主張はもう「言ったもん勝ち」の世界。そして中華人民共和国中華民国の後継政府を自任している(台湾に「中華民国」が存在しているにも関わらず)。そうであるなら、歴史の真実を隠蔽し、かつ捏造して他国の攻撃に使うというのは、まさに「天に唾する」行為である。
 
後は欧米をはじめとする国際世論が、正しく歴史を見つめられるかどうかに係っている。ナチス排斥に熱心な欧米が現代のナチス中共のでたらめな言い分を「もっともだ」などと評価するようであれば、その時点で自由世界は終焉を迎えるだろう。
 
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