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クリミア:試される米,EUの力量

 
米国やEUが対露制裁として発動したロシア政府高官の資産凍結、渡航禁止措置の有効性は疑問である。中共高官と違ってロシア政府高官が海外資産、特に米国内に多額の蓄財を行っているという話はあまり聞かないからである。
 
またプーチン政権自体が政府要人の海外資保有を認めない方針であり、米国やEUの措置は無意味どころか却って嘲笑の的となるだろう。ただし一応は「制裁措置」であるから、ロシアはそれに対する「報復措置」というカードを手に入れたことになる。
 
産経新聞3191226分配信記事↓
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クリミア併合 露外相が欧米の制裁に強く抗議、報復措置示唆
 【モスクワ=佐々木正明】ロシアのプーチン政権がウクライナ南部クリミア自治共和国ロシア連邦に併合すると宣言したことを受け、ラブロフ露外相は18日、ケリー米国務長官と電話会談した。
 露外相は、クリミアの住民が国際法にのっとり「民主的な選択を行った」と強調。米国や欧州連合(EU)が、ロシアへの追加制裁を行う構えを見せていることに対しては、「絶対に受け入れられない。余波なしでは済まされない」と述べ、報復に乗り出す可能性を示唆した。
 一方で、両者はウクライナ情勢の正常化を模索するため、今後も協議を継続することでは一致。露外相は緊張緩和に向け、欧州安保協力機構(OSCE)の監視員らをウクライナ国内に受け入れることも可能だとの認識を示した。(以上引用)
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シリアに対してすら何ら有効手を打てないオバマ政権であるから、今回も大した手が打てず、手詰まりに陥るのは目に見えている。オバマも二期目で彼の本質、つまり内向き指向が鮮明になっていてオバマ氏のスローガン「Change」の真意は、米国の世界的プレゼンスの後退、つまり超大国から単なる列強国への変化)、米国の方針転換は政権交代を待たなければならないだろう。
 
翻ってロシア、EU、そして米国に共通して云えるのは、以前も書いたように東欧~旧ソ連西方地域の安定と不安要因の減少である。結局のところ“落としどころ”を探すとなると、上記記事の最後にある
 
一方で、両者はウクライナ情勢の正常化を模索するため、今後も協議を継続することでは一致。露外相は緊張緩和に向け、欧州安保協力機構(OSCE)の監視員らをウクライナ国内に受け入れることも可能だとの認識を示した。
 
こんな処でお茶を濁すことになるかも知れない。そもそも現ウクライナ暫定政権自体の正統性も厳密には疑問だらけであるから、米国やEUもどこまで肩入れすればいいのか加減が難しい筈だ。
 
そして米国やEUが上記のような妥協を実際に行った場合、親EU的なウクライナ(特に西部地域)の国民感情は失望に変わり、今度は親露、親EUとも違う「本当の独立」志向へと突き進む可能性がある。
 
ただし「本当の独立」志向は排外的民族主義、そして孤立主義にも繋がってゆく。つまりEU、ロシア共に不安要因を抱えてしまう事になる。ロシアの場合はウクライナ東部地域を緩衝として使う事も出来るが、EUの場合、特にポーランドが巻き込まれてゆくであろう。
 
まさにクリミア情勢は、米国、EUの力量が試される事態に陥っているのである。そして我が国は対ロ政策について、米国、EUとの共同歩調をとるのも程々にしておくべきであろう。
 
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