賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

狂気のパチンコ合法化

 
政府・自民党が会合を開き、パチンコを合法化して総額数兆円にもなろうかという「パチンコ税」を取り立てることを協議しているという。
 
産経新聞 622日配信記事↓
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「パチンコ税」創設浮上、1%で財源2000億円試算 政府・自民、法人税率下げ減収の穴埋め
 政府・自民党内で、安倍晋三首相の主導で政府が決めた法人税の実効税率の引き下げに伴う税収減の穴を埋める財源の一つとして、パチンコやパチスロの換金時に徴税する「パチンコ税」の創設が浮上していることが21日、分かった。1%で2千億円の財源が生まれるとの試算もある。ギャンブルとして合法化する必要があるため異論もあるが、財源議論が活発化する中、注目が集まりそうだ。
 風営法は現金又は有価証券を賞品として提供することを禁じており、パチンコ店では、利用者は一度景品を受け取り、景品問屋や景品交換所に販売して現金を受け取る方式が取られている。
 これを改め「換金免許制度」を創設。店での換金を認め、店が一定割合を地方税として納める形式のほか、景品交換所などを公益法人に委託された業者と位置付け、一定割合の手数料を取って国または地方自治体が徴収する案が検討されている。
 国会では、自民党日本維新の会、生活の党がカジノを中心とした複合型リゾート施設(IR)の整備を政府に促す推進法案を提出している。カジノでの換金を合法化するのに合わせて新制度を導入すべきだとの意見がある。
 自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」(保岡興治会長)が2月、換金の法制化とパチンコ税導入を推奨する識者を招いて勉強会を開いた。議連には野田毅党税調会長や高村正彦副総裁ら重鎮が名を連ねており、一気に機運が高まる可能性もありそうだ。
 政府は月内にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に法人税の実効税率について平成27年度から数年間で20%台に引き下げる方針を明記。財源は年末の税制改正議論で改めて検討するが、法人税の実効税率を1%下げると4700億円の税収減となる。
 税調関係者は、「パチンコ税も議論になりうる。パチンコ業界も法の枠組みで認められるのは歓迎ではないか」としている。ただ、治安悪化や法人減税の穴埋めを個人に課す形になるなど懸念の声もある。(以上引用)
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記事中にもあるが、これとセットになるのが「カジノ合法化」。3年前に書いたように、やはり「カジノ」はパチンコ合法化への布石であったようだ。
(ご参考)
2011626日エントリー
震災復興カジノとパチンコ業界
 
「パチンコ税」自体はかなりの税率になりそうだが、パチンコ業界、特に大手は合法化によって、悲願の「東証上場」への道が開かれるという大きなメリットを享受できる。また業界のイメージアップに寄与すること大である。
 
「カネを取れるなら、何でもいいのか」という批判は当然出るだろうが、それを補って余りある税収の前には、そのような批判は霞んでゆくに違いない。そんな姿勢に誰も疑問を感じないとするなら、次は売春合法化で以前のように国家管理とするか?
 
現代の状況から考えれば、全国のソープランドファッションヘルスに重課税する代わり、それらを「売春特定事業者」として合法化する。ついでに「援交」も個人ではなく「援交特定事業者」許認可で課税対象とするだろう。事業者にとっては課税額以上のメリット、すなわち「風俗業の上場」という美味しい話が待っている。
 
それをもって我々一般国民は、「時代が変わった」と受け入れるしかないのか?
 
●また、パチンコ合法化によって、パチンコ関連業界以外の各方面の不満も解消されるというメリットも生じる筈である。
 
カジノ合法化ならばIR設置法の中での特例措置として、特定地域・施設内における賭博罪の適用除外規定を設ければいい。しかし全国津々浦々に存在しているパチンコを「賭博」と認定した上で税を課すということはつまり、刑法の賭博罪そのものを改訂する方向なのだろう。
 
改訂内容はだいたい想像がつく。現状では一般論として賭博を禁じているが、それを「認可された事業者」以外の者が賭博行為を行うことを禁じるという内容になる筈である。
 
そして事業者の許認可および監督権限は、「特定とばく(つまりパチンコのこと)事業監理委員会」に帰するようにし、それを各都道府県の知事直轄組織もしくは各自治体警察の参画組織とするだろう。これはカジノ法案に謳われている「カジノ監視委員会」の位置づけに関わっている。
 
IR法案では、同委員会は内閣府の外局と位置づけられている。以前から書いているように、場合によっては「三条機関」となる可能性もある。カジノの公正性、透明性を確保するためには、委員会の構成は警察庁関係だけでなく総務省、金融関係省庁、経済関係省庁、厚生労働関係省庁および学識経験者から選任されると思われる。
 
これは警察関係者にとっては些か不満な事態である。なぜなら、既存の事実上最大の賭博であるパチンコの許認可および監督を一手に引き受けている警察、その中の署長クラスの天下り先の相当部分をパチンコ関係団体が受け持っている。しかしカジノが各地に認可され、パチンコ業界が凋落した場合、警察としてはパチンコ業界内で現状振る舞っているような独占的地位を占めることが難しくなるであろう。
 
そこで考えられるのが、パチンコ合法化で必要となる上記「特定とばく事業監理委員会」の設置による天下り利権の確保である。カジノは外資の参入で天下り受け入れの可能性は低いが、パチンコならば警察にとって勝手知った庭のようなもの、またパチンコ業界としても従来通りの仲良し警察指導で有り難い筈である。
 
IR議連、俗に言うカジノ議連の会合では、現在「カジノ監視委員会」の位置づけを巡って議論が生じつつある由。つまり前述のように「三条機関」とするかどうか、人員構成をどうするかで、特定官庁の天下り利権や監督利権が相当影響を受けることを意味している。
 
「カジノ監視委員会」の職務には当然、カジノ事業者および関連業者、業界団体への、監督官庁職務者の再就職制限が含まれる筈である。カジノの公正性・透明性を明らかにするためには絶対に必要である。そしてパチンコを賭博と定義し合法化するならば、カジノと同じように公正性・透明性を確保しなければならない。つまり従来のような警察と業界の関係の延長が野放しになっていい筈がない。
 
かかる議論も無しに突然、「パチンコ合法化」でパチンコ税徴収、その予想税収は何兆円云々の話は、国民に対するまやかしではないのか?
 
それとも単純に「税収増が見込まれる」だけで議論を進めようとするのなら、それは狂気としか言いようがないのである。
 
繰り返すが、カネになりさえすれば何でも検討するのか?
 
●ちなみにIR法案では内閣府の外局と位置付けられている「カジノ監視委員会」であるが、上記の通りこれに強制力を持たせるため「三条機関」とするかどうか・・・という議論が始まっている。警察特権の排除というメリットがあるものの、別の問題も生じる可能性がある。
 
すなわち、「カジノ監視委員会」が「三条機関」でOKならば、かつて何度も国会で取り上げられた「人権擁護法案」「人権侵害防止法案」で設置が検討された「人権委員会」も速やかに「三条機関」とすべきだ・・・云々の議論が生じるであろう。
 
場合によっては、政府・与党がIR法案(カジノ法案)の国会通過とバーターで、「人権侵害防止法案」の検討を開始する・・・という悪夢のシナリオも考えておかねばなるまい。
 
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