賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

厚労省が狙うカジノ利権

 
一昨日、IR議連(カジノ議連)の某議員と面談。例の厚労省によるカジノ日本人NGの件に関して、先日書いた推論とは別の、もう一つの理由の方が大きいのではないか…という感を強くした。
 
結論から言うと、厚労省も「カジノ利権」の一角を確保したいのではないか・・・という事である。
 
(ご参考)時事通信819日配信記事↓
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カジノ、日本人はNGに=依存症懸念で働き掛け―厚労省
 厚生労働省は、海外からの観光客誘致の一環として政府内で検討が進むカジノ解禁に関し、ギャンブル依存症患者が増加する懸念があるとして、日本人の利用を認めないよう求めていく方針だ。安倍政権は内閣官房に検討チームを設け、米国やシンガポールなどの先進事例の調査に乗り出しているが、同省は関係府省に対し、解禁の場合も利用者は外国人観光客に限るよう働き掛ける。
(中略)
 厚労省は、観光立国推進のためのカジノ整備自体には反対していない。一方で、依存症などの精神疾患対策を所管する立場から、カジノ解禁によってギャンブル依存症患者が増える事態を懸念。それを避けるため、日本人の利用を認めないよう訴える考えだ。
 同省によると、日本人はパチンコなど、ギャンブルに比較的のめり込みやすい傾向が統計上見て取れるという。(以上引用、太字は筆者)
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誰が見ても判るように、厚労省がIR(カジノを含む統合型リゾート)整備に関与するのは、保健衛生の立場としてである。それだけであれば「箱もの」の数自体は知れているから、営業飲食店舗や風営法対象店舗の数もたいしたことは無い。
 
しかし厚労省が指摘している「ギャンブル依存症」対策という切り口で関与すれば、カジノ運営者そのものへの指導に関与できるし、カジノ依存症対策という名目での教育更生施設の開設およびその許認可、果ては小学校から大学、各種教育機関への対カジノ教育プログラムの作成と普及など、その新規取り組み分野は大きく拡がってゆく。これぞ、「カジノ関連利権」の一端である。
 
ところが、国会で継続審議となっている「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案」(※正式名称:「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」、以下「法案」とする)、所謂「カジノ法案」では、カジノを統括管理する機関がこう定められている。↓
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第十一条 カジノ管理委員会は、別に法律で定めるところにより、内閣府に外局として置かれるものとし、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るため、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとする。
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私の予想では、カジノの運営面と金融面の公正性・透明性を確保するために、上記「カジノ管理委員会」を単に内閣府の外局としてではなく、公正取引委員会国家公安委員会原子力規制委員会と同じ国会同意機関、いわゆる「三条機関」と位置付ける可能性が高い。
 
政府から半ば独立した権限を持つ「三条機関」であるカジノ管理委員会は当然、
ギャンブル依存症」対策についてもコミットする筈、と云うよりも、する義務がある。これは例えばマカオでも、「博彩監察協調局」というカジノ監督の政府機関が「ギャンブル依存症」対策の独自プログラムを組んでいることからも明らかである。
イメージ 2
マカオ博彩監察協調局によるギャンブル依存症者の隔離自己申告票)
 
イメージ 3
(同じく、ギャンブル依存症者の家族・親族による隔離申告票)
 
しかしながら厚労省としては、「ギャンブル依存症」対策は既存の「薬物依存症」対策と共通の領域でもある、と認識している筈だから、上記「カジノ管理委員会」のコミットは厚労省の省益を侵害するものとなる。そして「カジノ管理委員会」が強権を発動できる「三条機関」となれば、本来自分たちが関与し主導してゆくことが期待できる「ギャンブル依存症」対策というフロンティア利権が永久に失われてしまう。
 
したがって黙って指をくわえて見ているよりも、カジノ反対論がまだ存在している今の内にギャンブル依存症患者の増大懸念で日本人のカジノNG」を推進派との取引材料に使い、おそらくは日本人NG撤回の見返りとして「ギャンブル依存症」対策という「カジノ関連利権」を確保する。そのための、先日の方針発表だったのではなかろうか。
 
私たち国民の保健衛生に直結しているのが厚労省ではあるが、所詮は官僚の一機関である。「ギャンブル依存症」から国民を守るという、もっともらしい大義名分の本音は、国民をダシにした手前の利権確保・・・というオチが待っている可能性が見え隠れしているところに、救い難いものを感じるのである。
 
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