2年前、中共は香港政府に「国民教育科」なる「愛国教育」カリキュラムの導入を指示した。これは中共が定義する「中国 = 中国共産党」、「愛国 = 愛党」という概念を小中学生に教え込もうという「洗脳教育」であり、香港人の猛反発を呼び込んだ。
9月には香港島のビジネス街・金鐘(アドミラリティ―)の政府総部界隈を民主派数千人が占拠するなどの抗議活動で結局、香港政府は「国民教育」導入を撤回した。もっとも中共は導入時期等については香港政府に下駄を預けていたので、民主派に面子を潰されたのはあくまでも香港政府という格好になっていた。
しかし、今回の民主派による抗議活動の発端は、直接的には去る8月31日の中共全人代常務委員会の決定であり、香港政府は単なる北京の下請けに過ぎない。従って香港民主派の相手は中共・習近平政権そのものとなる。8月31日決定は香港政府が噛まないだけに、習政権にとって撤回は完全に自分らの面目丸潰れとなってしまう。従って香港民主派市民・学生の要求する「真普選(真の公正な普通選挙)」を呑む筈は無い。
今の習政権は国際世界からどう見られようと全く気にしていない(つまり国際世論を舐め切っている)から、人民解放軍駐港部隊に加えて広東軍区の応援をもって、各地で現に勃発している反政府騒乱への見せしめ的な武力鎮圧の可能性が排除できないと見るべきであろう。ただしその場合、中共の悲願である台湾の無血併合は無くなるというデメリットがある。
という流れを作って台湾への圧力としたいので、当面の武力鎮圧は無いであろう。
そこで習政権としては、8月31日決定を主導し、9月15日には香港が言うことを聞かない場合「一国二制度」から「一国一制度」への転換も止むなしと表明した張徳江委員長に責任をとらせて、“決定差し戻し”(実際は決定を覆すつもりはない)という形で時間稼ぎを行いつつ、香港民主派を内部から切り崩すべく策謀を巡らす・・・という手がある。
もう一つの手は、「決定に撤回の余地なし」という原則は崩さず、但し行政長官選挙は2017年の話なので、「香港政府との協議に応じる(つまり、話だけは聞いてやる)」というスタンスを表明して民主派内部の路線分裂を誘い、民主派占拠の始末を香港政府に任せてしまうというもの。
そして香港政府は民主派に対して、「学生の意見を聞き、北京との交渉を開始する」ので政府總部のある金鐘の幹線道路開通を要求するだろう。そして繁華街の銅鑼湾と旺角の占拠は適当な処で放置しておき、「親中派住民との対立」へと問題点をすり替えてしまう。これで民主派の占拠は警察の強制排除無く終焉を迎えてしまうであろう。
民主派の弱点は何と言っても政党と政治家の力量不足、これに尽きる。学生勢力が一般市民の支持を得ているのも、元をただせば汎民主派政治勢力が離散集合を繰り返してばかりでだらしなかったことに起因している。先日会った急進民主派「熱血公民」代表の黄洋達さんによれば、流石に今は民主派全部が結束しているとの事だったが、いつまた路線の違いで分裂するか判ったものではない。
そして学生団体の「學聯(香港專上學生聯會)」もまた、一般学生や市民から全面的な信頼を得ている訳ではない。その原因は、繁華街・旺角や銅鑼湾の占拠に対して何度も撤退勧告を出していたからで、特に九龍半島部は放棄して香港島に集結せよと呼びかけていたのが多くの学生・市民から「弱腰だ」と評価されてしまった事にある。
民主派勢力としては学生主体の占拠を続けるとしても、同時並行で立法会議会での香港政府、親中派との政治闘争を続け、先ず「中共決定の不承認」と「「梁長官の辞職」に全力を注入するべきである。今のところ親中派は頭が混乱しているようなので、どんどん付け入ればよかろう。
産経新聞10月24日記事↓
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香港議会、欠席多数で流会
選挙制度改革で、香港政府は今後、民主派を事実上排除した中国の決定を立法会に示し、審議と採決を求める必要がある。可決には3分の2を超える47議席以上の賛成が必要なため、43議席の親中派は27議席をもつ民主派との何らかの交渉が欠かせないが、今回の騒ぎで波乱も予想される。(以下略)
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そして民主派の最大の強みは、まだ本当の「佔領中環」~「和平佔中運動」(略して「佔中」)、つまり国際金融街・中環(セントラル)そのものの占拠を実施していないことである。
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前から述べているように、かつてアメリカでキング牧師が展開した「公民権運動」を範として、あくまでも非暴力を貫き、「次は本当のセントラル占拠を実行して国際金融を脅かすぞ」と中共、香港政府に圧力をかけるというアクションを倦まず弛まず繰り返してゆくことが、民主派勝利に繋がる。
既に国際世論は民主派勢力の健闘を見て、味方に付き始めている。ここが頑張りどころなのである。
我支持雨傘革命、港人起義。
香港民主加油!
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