もっとも一応史実を参考にしてはいるが、登場人物はすべて仮名。そのせいか各人物像は史実の該当人物を相当デフォルメしており、主人公の宮城大尉のモデルは実際に決起した安藤輝三大尉ではないかと思われるが、よく判らない。
そしてこの映画のキャッチコピーが、「男が男であった 女が女であった」
つまり描かれている主題は、高倉健演じる主人公と吉永小百合演じるヒロインとの悲恋話なのである。だいたい反日左翼で日本共産党のシンパである吉永小百合を使っている時点で、いきなり減点もの。従ってこの映画では、二・二六事件に至る一連の国体変革運動や陸軍内部の抗争もすべて“刺身のツマ”的な扱いになってしまっている。
もっとも評価に値する点が無くもない。例えば、主人公が部下中隊員の脱走事件の責任を取らされて飛ばされた朝鮮駐箚部隊において、こともあろうに軍需物資を業者に横流しする連隊幹部(岸田森)のインパクトある演技や、主人公の人柄に惹かれながらも役目上、決起を阻止する側に回らざるを得ない憲兵曹長(米倉斉加年)の好演などである。
それから、日本軍にすり寄っているくせに敵方の匪賊へ日本軍の武器を横流ししている朝鮮人女衒(左とん平)の悪辣ぶりが光っていた。これは今ならば反日左翼や在日シンパが「ヘイトだ」云々と騒ぎかねないだろうが、史実では満州でもシナでも、朝鮮人が日本の威光をかさに無茶苦茶なことをやる一方、平気で背信行為を演じていたのだから、正しい描き方であろう。
以上述べてきたが、要は100%史実と思わず、健さんの渋い演技を味わうのが一番の見どころの作品。二・二六事件そのものであれば、松竹の映画『226』(平成元年、監督:五社英雄、脚本:笠原和夫)の方が上である。
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