●先ず、「生前退位」という造語について。
そもそも「生前退位」という言葉そのものは、いままで存在しなかった。伝統的に使われているのは、「譲位」という語彙。これが正しい。
しかし「生前退位」という造語を広めることは日本の伝統の一角を崩せる効果をもたらすので、それを狙っている勢力にとっては好都合なのであろう。
●次に、この造語を誰が言い出したのか?
報道を時系列で整理すると、最初に使ったのはNHKで、7月13日夜のニュースに於いて使用し始めた。↓
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「天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かりました。数年内の譲位を望まれているということで、天皇陛下自身が広く内外にお気持ちを表わす方向で調整が進められています。」
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7月13日というタイミングでNHKが「スクープ」的に報道したことについては、既に多くの識者が各々の推論を述べられており、それぞれが頷けるものである。
しかし私の知る限り、下記の気になるニュースと関連付けて論じている者は、残念ながら見当たらなかった。
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皇太子ご一家、21日から奈良・京都へ
同庁によると、愛子さまの神武天皇陵参拝は今回が初めて。ご夫妻はかねてより初代天皇とされる同天皇陵に愛子さまを連れていきたいと希望しており、中学校が夏休みに入るこの機会に、ご一家での訪問が決まったという。(以上引用)
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この「7月13日」という日に、今上陛下の「退位」ご意志忖度報道と東宮ご一家の神武天皇陵参拝報道を流した処に、“何らかの意図”(「次の次」を視野に入れた…何か?)が込められていると感じたのは私だけであろうか。
●そして、この陛下の「生前退位」に飛びついた者がいる。
中日新聞8月7日配信記事↓
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(前段略)
典範では、男系男子しか皇位継承が認められていません。皇太子ご夫妻に長女愛子さまがいらっしゃるのに、女だから皇太子にはなれないなんて変ではありませんか。わしは愛子さまが皇太子になるのが最も自然で良いと思います。
世界を見れば、英国のエリザベス女王にメイ首相、米国ではクリントン大統領候補、ドイツもメルケル首相と、女性が活躍している時代です。「男性の血脈こそが尊い」というばかばかしい男尊女卑の因習は、いいかげんやめるべきです。
次の天皇になる皇太子に愛子さまがなられた段階で、日本はこれまでとまったく違う地平が開けると思いますよ。天皇は日本の象徴ですから、世界中に「女性の時代」をアピールできる。日本も「女性活躍社会」と言うなら、女性・女系天皇も認めるべきです。
このまま男系男子しか認めなかったらどうなるか。男系に固執する一部勢力は「秋篠宮家の長男悠仁さまがいる」と言いますが、皇室に残る次世代の男子は悠仁さまお一人だけで、もし悠仁さまに男子が生まれてこなければ、そこで皇統断絶です。圧力が相当かかるでしょう。そんな環境に嫁いでくる女性がいるでしょうか。
女性宮家の問題も早く決着をつけなければいけません。現行制度では、女性皇族は民間人の男性と結婚したら皇族を離れます。しかし、女性宮家が認められると、結婚した男性を皇族に招き入れることになります。結婚適齢期を迎える眞子さま、佳子さまのためにも、早く決めるべきです。いつまでも自分の将来がわからないなんて酷ですよ。
(以上引用)
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彼はどうしても女系天皇を実現することで、男系断絶による「王朝交代」と「伝統破壊」を進めたいようである。
実に見事な、東宮家(とその裏にいる民間某家、それを支援したい者ども)への“援護射撃”と云えようか。
小林氏は福岡市出身。女性活躍社会云々と言うのなら、彼の地元福岡の伝統行事である「博多祇園山笠」の舁き手が伝統的に男性ばかりであるから、女性も尻丸出しのふんどし締め込み姿で参加させよと何故主張しないのか? 皇室よりも先に、自分の地元の伝統行事を改変させるべきではないのか?
更に、意外な感を受けた方もいらっしゃると思うが、日本共産党の志位委員長も記者会見。
産経新聞8月8日配信記事↓
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【天皇陛下「お気持ち」】
共産党の志位和夫委員長は8日、天皇陛下が「生前退位」のご意向を表明されたことについて、「高齢によって象徴としての責任を果たすことが難しくなるのではないかと案じているお気持ちはよく理解できる。政治の責任として生前退位について真剣な検討が必要だと思う」と述べた。都内の党本部で記者会見した。
国会で関連法案を審議する時期については「慎重な対応が必要だと思う」と述べた。
(以上引用)
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皇室に関して、日本共産党中央委員会が出している綱領には、こうある。
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目標としては天皇制をなくす立場に立つ
●私たちは、目標としては民主主義の精神、人間の平等の精神にたって、天皇制をなくす立場に立ちます。これをどうして実現するかといえば、主権者である国民の多数意見が、その方向で熟したときに、国民の総意で解決する、ということです。これが、天皇制の問題を解決してゆく、道理ある方法だと考えて、今度の綱領に明記したわけであります。(日本共産党創立81周年記念講演)
天皇制のない民主共和制をめざす
●日本の国の制度、政治の制度の問題としては、一人の個人が「日本国民統合」の象徴になるとか、あるいは一つの家族がその役割をするとか、こういう仕組みは民主主義にもあわないし、人間の平等の原則にもあわないと考えています。ですから将来の日本の方向として、どういう制度をとるべきかということをいえば、天皇制のない民主共和制をめざすべきだというのが日本共産党の方針であって、この点に変わりはありません。(日本共産党創立81周年記念講演)
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その一方で、共産党は狡猾にもこう謳っている。
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「天皇制打倒」の旗はかかげていない
あくまで、「国民の総意」による・・・という建前をとっている。そして、その国民の気分を変えるために必要なのは、我が国の歴史伝統の改変・破壊・史実の捻じ曲げ、社会秩序の破壊転覆などを少しずつ進めてゆく事である。
有名な『共産党宣言』に曰く、↓
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「共産主義革命は伝統的所有諸関係とのもっとも根本的な決裂である。この革命の発展行程のなかで、伝統的思想と、もっとも根本的に決裂する事は不思議ではない。」
「共産主義者は、これまでの一切の社会秩序を強力的に転覆することによってのみ自己の目的が達せられることを公然と宣言する。」
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日本国内の反日思想を持った者共、並びに特定アジア2ヶ国(中共、韓国)に共通しているのは、我が国の存立基盤から歴史伝統を奪い、「新・日本国」へと改変したい・・・という点である。「女系天皇」実現は、そのための重要な手段のひとつである。
従って特亜、日共、小林は、同じ穴のむじなのようなもの。
皇室典範改正議論の中で、「女系天皇」明記化へと道筋をつけようとする者が出てくるだろう。そして退位された天皇を指す「上皇」という伝統的語彙なども無視して、新たに珍妙な名称を定着させようとする者も出るだろう。更には、宮中祭祀の簡略化や省略を進めようとする輩も相次ぐだろう。
しかし、ひとたび失われた伝統や秩序は、それを復することが非常に困難である。私たちは「有識者会議」などの改正議論をきちんと見極めなければならないのである。
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