●香港・華南の「黒勢力」
香港の政治の裏側を観察すると、重要な局面で顔を出す組織がある。それは所謂「黒勢力」と呼ばれる存在である。
2年前の香港雨傘運動(学生ら民主派の主要地点占拠事件)でも政府・中共側の「黒勢力」系組織が学生たちを襲撃していたのは、2014年後半の当ブログ各エントリーで度々述べてきた通り。
シナ大陸、特に華南・広東(含香港、マカオ)に根を張る「黒勢力」は、「三合会」の流れを汲む組織である。「三合会」は元々清代の反政府組織、つまり漢民族の反清活動を旨とする秘密結社「洪門」の流れを汲み、白蓮教、太平天国なども関わっていたと云われている。現代の香港ヤクザたちもその伝統を根拠としている。
「洪門」について書くと長くなってしまうので別の機会にするが、広東地方に根を張った「三合会」は辛亥革命から共産中国成立に至るシナ近代史に密接な関わりがある。
例えば孫文の父である孫達成は三合会の幹部であり、孫文自身もメンバーであった。また中国国民党の前身である「興中会」は、「三合会」の一派「青幇」と政治的に連携していた。「青幇」の流れは現在でも華人社会に隠然たる影響力を持っている。
1949年に中国共産党がシナ大陸を掌握すると、その支配を嫌った「三合会」などの黒社会勢力は続々と南下、イギリス領香港をめざした…というのが定説となっているが、実は1842年のイギリス官憲による記録から、当時既に香港で秘密結社が存在していたことが確認されている。
1941年12月、日本が対米英蘭に宣戦布告し香港を攻略した際、日本陸軍の特務機関である「興亜機関」が「三合会」の反英的一派と提携し、イギリス軍に対する破壊活動を行った。さらにそれ以外の黒勢力も、混乱のどさくさに紛れて市民に対し暴行略奪の限りを尽くした事が記録されている。
ちなみにマカオは当時中立国だったポルトガル領だったので、香港からの難民が目指した地域となった。ポルトガルのマカオ政庁の他、国民党の連絡機関やイギリス系商社、日本総領事館や日本陸軍の特務機関、日本海軍・広東海軍武官府の連絡所などが呉越同舟で活動していた。
●その主体は経済犯罪
(1)国有企業資産の横領や横流し、不正運用
(2)建設案件に絡む汚職
(3)金融機関の不正融資
(4)不正徴税、税金横領
(6)官民結託による不正取引
など多岐にわたる。
大陸の黒勢力はこれらに密接な関わりを持っている。日本のヤクザと決定的に違うのは中央・各地方政府、共産党内部に構成員が多数存在しており、それら経済犯罪をサポートしている事である。
中共政府の調査では、構成員500人以上の黒勢力組織は4,300組織以上存在し、組織の基幹分子(幹部)は150~200万人と推定されている。
共産シナの「黒勢力」というのは、日本で云う「やくざ」組織(暴力団)に相当するが、やくざと云うよりは「アンダーグラウンド」勢力と表現したほうが正確である。しかし香港「三合会」系組織は比較的「やくざ」意識を持っていると言われる場合がある。
かつて、平成4年の“指定暴力団”に関する国会聴聞会に於いて、稲川会代表が「日本古来の任侠道を志す任侠団体である」、住吉会代表が「ヤクザであり、暴力団ではない。暴力団と言われるのは心外である」と意見陳述し、“任侠団体”を主張した(現在でも同見解)が、華南の「三合会」系組織も意識の上では近いものがあるようだ。
もっとも“任侠”が建前の「三合会」系組織もシナ大陸の黒勢力も、活動内容は大差ない。但し現在、大陸で増殖している黒勢力の方が、仁義もへったくれも無い“何でもあり”の犯罪行為を演じているようである。
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