賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

今月の詞:226「我レ狂カ愚カ知ラズ 一路遂ニ奔騰スルノミ」

 
平成元年公開の松竹映画『226』。二・二六事件を題材にした映画の中では、もっとも多数の豪華キャストが出演している佳作である。
 
 
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この映画は、二・二六事件を決起青年将校の側から描いており、登場人物もほぼ全て実在の人物である。事件に至る一連の国体変革運動や陸軍内部の抗争は省かれているものの、それらを前提とした決起直前の青年将校たちの描写が優れており、歴史を知る者にとっては判りやすいドラマとなっている。
 
決起前の彼らの会合シーン。多くの者が決起に賛同する中で、独り安藤輝三大尉(三浦友和)は慎重な姿勢を崩さない。しかしリーダー格の野中四郎大尉(萩原健一)がその場でハンカチに覚悟の程を示す一文を書き、安藤大尉も覚悟を決める。
 
「我レ狂カ愚カ知ラズ 一路遂ニ奔騰スルノミ」
 
そして昭和11年2月26日、決起部隊は首相、大臣、軍幹部らを襲撃した。決起は成功したかに見えたが、首相が存命していたことと天皇陛下のお怒りが伝えられて状況は一変。そして焦った決起将校たちは結論の出ない議論を繰り返した末に、勅命に従う方向へと向かう。
 
そんな彼らに対して、野中大尉の一文が書かれたハンカチを示して怒りを爆発させる安藤大尉。
 
「これはあんたが書いたものだ。俺はこの言葉で起ったんだ!」
 
しかし安藤大尉も大勢に逆らえず、兵を収めることになる。ラストで彼が呟くように唄っていたのが、『青年日本の歌』 ~ 別名『 昭和維新の歌 』の一節。
 
♪ 功名何ぞ夢の跡 消えざるものはただ誠
  人生意気に感じては 成否を誰かあげつらう
 
言葉は人を動かす。しかし行動が志半ばで終わるとき、言葉は虚しいものとなる。言葉の持つ重さが印象的な作品であった。
 
映画『226』
監督 五社英雄
脚本 笠原和夫
製作 奥山和由
配給 松竹
 
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