東芝の株価は経営危機が露呈した1月以来、概ね200円台を維持している。2017年3月度決算見通しが9,500億円の赤字、そして債務超過額5,400億円と事実上の破綻状態にある同社がいまだ東証1部でそれなりの株価で居るとは、驚きを通り越して疑念を抱かざるを得ない。
多くの識者は巨額赤字と破綻先延ばしについて、米の原子力事業との関連で論じている。それは勿論、十分に納得できるものではあるが、破綻処理の妙な先延ばしには別の理由もあるのではないだろうか。
特に昭和13年、鴨緑江水力発電株式会社が計画し、当時「世紀の大ダム工事」と呼ばれた水豊発電所(ダム)建設工事に際しては、東芝の前身である芝浦製作所と電業社原動機製造所が当時世界最大の105MW水車7台および100MVA発電機5台を納入している。
以前書いたように戦前、朝鮮の赴戦江発電所、水豊発電所をはじめとする日本資本が建造した社会インフラは、殆どが現在の北朝鮮領内に集中している。しかも、その多くは現在でも補修工事を重ねながら稼動していると見られる。
13年前の10月、朝鮮総連の仲介で我が国の大手ゼネコン10社が北朝鮮訪問を計画、しかし政府の中止要請で実際には3社(西松建設・鴻池組・東亜建設工業)のみが訪朝した。その目的は「日朝国交正常化」後の“戦後賠償”やODAという形態をとると予想される経済支援によって発生するインフラ整備事業の下見と、営業活動のためというものだった。
しかし現在の半島情勢は、北朝鮮の核ミサイル技術が格段に進歩し、その脅威に対して米国をはじめとする諸国が軍事介入も辞さない事態となっている。北朝鮮地域でのインフラ補修もしくは全面新設事業は、金王朝の崩壊後に発生するであろう。
※代表的な会社は、鹿島組(現・鹿島建設)、大倉土木(現・大成建設)、大林組、西松組(現・西松建設)、鴻池組、奥村組、清水組(現・清水建設)、飛島組(現・飛島建設。また熊谷組と前田建設工業の母体)、間組(現・安藤ハザマ)、西本組(現・三井住友建設)、松村組など
更には朝鮮地域で工場を稼働していた化学大手各社、および現・太平洋セメント(旧・小野田セメントとアサノセメント、秩父セメントが平成に入り合併)、宇部興産(関連会社に旧・朝鮮セメント)などにも、有事後の北朝鮮へのアプローチの動きは今のところ見られない。
現社長は東大卒、役員の多くは慶応大卒という高学歴集団だから、きっと何か考えている筈だ(逆に云えば、そんな高学歴の面々を揃えた挙句に経営破綻…)。
個人的には、「もう死んでいる」東芝株でどれだけ儲けられるかが焦点。何か死肉を漁るハイエナみたいだが、これも勝負の世界の掟である。
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