今月の詞：『大東亜戦争』

 

第二次世界大戦における太平洋、アジア地域での戦闘を総称する用語として、昭和16年（1941年）12月12日に閣議決定されたのが『大東亜戦争』である。

 

国立国会図書館サイトより

（https://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/bib00362.php　）

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今次戦争ノ呼称並ニ平戦時ノ分界時期等ニ付テ

 昭和16年12月12日　閣議決定

 

一、今次ノ対米英戦争及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戦争ハ支那事変ヲモ含メ大東亜戦争ト呼称ス

二、給与、刑法ノ適用等ニ関スル平時、戦時ノ分界時期ハ昭和十六年十二月八日午前一時三十分トス

三、帝国領土（南洋群島委任統治区域ヲ除ク）ハ差当リ戦地ト指定スルコトナシ

 但シ帝国領土ニ在リテハ第二号ニ関スル個々ノ問題ニ付其他ノ状態ヲ考慮シ戦地並ニ取扱フモノトス

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２日前に開催された大本営・政府連絡会議の席上、戦争呼称を巡って陸軍は『大東亜戦争』を提案し、海軍は対米英戦が中心であることから『太平洋戦争』を主張した。そして協議の結果、陸軍の提案が通り、『大東亜戦争』となったのである。

 

また閣議決定同日、内閣情報局（現在の内閣官房）は以下のように発表した。

 

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「今次の對米英戰は、支那事變をも含め大東亞戰爭と呼稱す。大東亞戰爭と呼稱するは、大東亞新秩序建設を目的とする戰爭なることを意味するものにして、戰爭地域を主として大東亞のみに限定する意味に非ず」

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我が国の戦争目的は、『米國及英國ニ對スル宣戰ノ詔書』では「自存自衛」のためであったが、情報局発表により「大東亜新秩序形成」という意味も持たされることとなった。

 

そして現政府の見解は、第一次安倍内閣に於ける質問主意書と↓

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（http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166006.htm　）

平成十九年一月二十六日提出　 質問第六号

 

大東亜戦争の定義等に関する質問主意書

 

提出者　　鈴木宗男

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大東亜戦争の定義等に関する質問主意書

一　大東亜戦争の定義如何。

二　太平洋戦争の定義如何。

三　大東亜戦争と太平洋戦争は同一の戦争か。

　右質問する。

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それに対する答弁書がそれを示している。↓

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（http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b166006.htm　）

平成十九年二月六日受領　 答弁第六号

　　内閣衆質一六六第六号

 　　平成十九年二月六日

 

内閣総理大臣　安倍晋三

　　　　　　　衆議院議長　河野洋平　殿

 

衆議院議員鈴木宗男君提出大東亜戦争の定義等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

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衆議院議員鈴木宗男君提出大東亜戦争の定義等に関する質問に対する答弁書

 

一について

　昭和十六年十二月十二日当時、閣議決定において「今次ノ対米英戦争及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戦争ハ支那事変ヲモ含メ大東亜戦争ト呼称ス」とされている。

 

二について

　「太平洋戦争」という用語は、政府として定義して用いている用語ではない。

 

三について

　「太平洋戦争」という用語は政府として定義して用いている用語でもなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。

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上記より判るのは、

・日本政府として先の大戦の呼称について関与しているのは、昭和16年12月12日に閣議決定された『大東亜戦争』である。

・『太平洋戦争』という用語は、「知らない」

 

ちなみに「太平洋戦争」という呼称を広めたのは米国である。昭和２０年、連合軍統治下における１２月１５日附のＧＨＱ覚書に基づき、文部次官は「大東亜戦争、八紘一宇　等の用語」について禁止令を通達した。

 

連合国側、特に米国としては、第二次世界大戦を「民主主義国家VS独裁国家」、特に対日戦を「日本の侵略戦争に対する正義の戦争」という図式で後世にまで流布するためにも、日本による欧米植民地解放の意味がある『大東亜戦争』という呼称を撲滅したかったのであろう。

 

しかしながら、これはあくまでも米国の都合に過ぎない。サンフランシスコ講和条約後の我が国が、その見解を戴き続ける謂れは無いのである。

 

従って時々、「太平洋戦争」が正しく「大東亜戦争」を使うのは右翼…などと述べている者がいるが、これは経緯を理解していないか、もしくはかつての米国に阿る馬鹿者であるかのどちらかであろう。

 

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