日本政府が約40年に亘って続けてきた中共に対するODA=政府開発援助が、やっと終了することになった。
ロイター/共同通信10月23日配信記事↓
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対中ODA終了へ
日本政府は、約40年にわたり実施している中国への政府開発援助(ODA)について、本年度の新規案件を最後に終了する方針を固めた。25日からの安倍晋三首相の訪中時に伝える。今後、第三国での開発に関して協議する「開発協力対話」を発足させ、新たな協力を進めたいと提案する考えだ。政府関係者が23日明らかにした。(以下略)
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記事中にあるように対中ODAは1978年の日中平和友好条約発効翌年から始まった。これまでの供与総額は約3兆6500億円。
つまり我が国は中共に対して、実質6兆円以上の公的援助を実施してきたことになる。この話は何故かマスコミが触れようとしないが、日中両政府の考えを忖度しているのだろうか?
それはさておき対中ODAについては、
・「GDP世界第2位の国に何で支援を続けているのか?」
・「独力で宇宙に乗り出している国に何故援助し続けているのか?」
等々の疑問が噴出していた。
あるいは対中ODAの本質については、
「実質の対中戦後賠償ではないか?」
という疑問も各方面から提起されていた。
それに対して当の中共は、日本の対中ODAに関して広く一般に知らしめようとする意志も姿勢も欠落していた。現在、中共がODAについて異常な熱心さで日本を持ち上げているのは、アメリカ主導(と中共は見ている)の対中包囲網に穴を開けようという意図がひとつ。
ふたつ目には、持ち上げて更に東シナ海の侵食を抑制することで、対中ODAの代替取引として例のAIIBへの出資や日中通貨スワップの締結を飲ませ、日本を中共の膨張侵略作戦「一帯一路」構想に引きずり込もうとの策謀であろう。
ただし中共の対中ODA評価に関しては、実に醒めた視点での分析も存在している。例えば、↓
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(日本対華ODAの戦略思惟及びその対中日関係の影響)
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本書では日本政府が対中ODAを“経済大国化”のみならず“政治大国化”へのバネにしてきたと分析している。また2000年以降の対中ODAについては、中共の対日戦略に対する牽制としての役割も担ってきたと論じている。
もっとも本書のような冷静な対中ODA評価と分析を中共政府がアフリカやアジア・太平洋諸国への対外借款提供に反映させているかと言えば、とてもそうとは思えないケースが目立っている。
中共は近年、対外借款提供を積極的に進めているが、それは「一帯一路」の実現とリンクして更に加速し、債務国との軋轢も生じている。
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債務帳消し、中国に要求=太平洋島しょ各国で共同提案を-トンガ
【ウェリントンAFP時事】南太平洋の島国トンガのポヒバ首相が、中国に対し、太平洋の島国が負う債務を帳消しにしてほしいと求めている。中国はここ数年、援助という形で太平洋の国々に膨大な額の借款を提供し続けてきた。オーストラリアのシンクタンクの推計では、トンガだけで総額1億ドル(約110億円)が貸し付けられている。
(以下略)
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また産経新9月5日配信記事では↓
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中国が「新植民地」批判に反論 アフリカ投資に慎重姿勢もバラマキ外交は継続
【北京=西見由章】経済支援をテコにアフリカで影響力を強める中国に対し、欧米メディアでは「新植民地主義」と批判する動きが広がっている。
(中略)
中国の巨大経済圏構想「一帯一路」事業をめぐっては、大型インフラを整備したアジア・アフリカなどの発展途上国が過剰債務を抱える問題が顕在化している。中国主導で全長480キロの鉄道を建設したケニアは、全債務のうち7割を中国が占めるとされる。(以下略)
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中共が真に日本の対中ODA手法を学んでいるとしたならば、現在のアジア・アフリカ・太平洋諸国への稚拙で阿漕なやり口はまったく理解できない。
考えられるのは、19~20世紀にかけて列強に浸食された意趣返しで、借金のカタに港湾や土地を差し押さえて事実上の植民地主義を展開する戦略なのか、あるいは対外膨張を急ぐが余り、形振り構っていられなくなっているのか。
いうまでもなく中共は我が国にとって最大の脅威であることに変わりない。パンダ如きに踊らされることなく、従来以上にクレバーな交渉が求められるのだが、政権・与党に果たしてその覚悟ありやなしか。
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