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やくざ不起訴~意外な犯罪不起訴率

一昨日、意外なニュースがあった。名古屋の山口組系指定暴力団弘道会の幹部らが不起訴になった由。
 
時事通信1217日配信記事↓

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弘道会若頭ら不起訴=恐喝容疑で逮捕-名古屋地検支部

 (https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121702224&g=soc)

後援会費などの名目で現金と焼酎を脅し取ったとして、恐喝容疑で愛知県警に逮捕された指定暴力団山口組弘道会の若頭(56)と傘下組幹部(40)について、名古屋地検一宮支部は17日、不起訴処分とした。同支部は「理由は明らかにしない」としている。(以下略)

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指定暴力団がらみの犯罪の場合、立件し易いように警察と検察がタッグを組み高確率で起訴にもっていくのでは…と思っていたが、どうもそうではないようだ。
 
そこでたまたま図書棚にあった『平成29年版 犯罪白書で調べてみると、「不起訴率」の意外な数字に驚いた。本件の「恐喝」はなんと66.2%である。
 
そしてヤクザ絡みの犯罪を見てみると、
殺人:69.2%
傷害:62.9%
暴行:70.4%
 
また悪質犯罪なのに不起訴率が高いのが、
放火:62.7%
強姦:63.9%
横領:83.2%
通貨偽造:90.9%
 
反対に起訴率が高いのが、
収賄:88.7%
危険運転致死傷:83.5%
わいせつ物頒布等:72%
 
我が国では起訴後の有罪率が他国に比べて極めて高い(99.9%)と言われている(もっとも実際は97%前後らしい…某弁護士談)。従って検察官による起訴、不起訴の判断が重要となる。
 
不起訴処分となる理由は、
  1. 嫌疑なし
  2. 嫌疑不十分
 
そして不起訴処分理由の9割以上は起訴猶予。示談が進んでいるとか、被疑者が初犯であるとか、再犯の可能性が低いとか、深い反省の姿勢であるとかの情状を検察が汲み上げ、判断する。
 
本件のようにヤクザ犯罪の場合、初犯とか再犯の可能性が低いとか深く反省しているとかは無さそうなので、恐らく被害者との示談が決まったのだろう。
 
それを踏まえて「不起訴率」から犯罪を考えるに、先ず「通貨偽造」はそこらのコピー機で紙幣をカラーコピーしたのなら簡単だが、足がつくのも早い。かといってそれなりの偽造品を作るには先行投資が必要なので、費用対効果では割に合わない犯罪であろう。
 
また「横領」も簡単にバレない工作を考える脳味噌が必要なので、これまた費用対効果ではいま一つの犯罪。そして「殺人」も衝動的なもの以外はそれなりの工作が必要だろう。
 
すると「暴行」「傷害」「強姦」「放火」辺りが、費用対効果の点からするとお手頃…更に我が国は薬物犯罪に対しての刑罰が甘いから、「薬物所持・使用」も入る(別にお薦めしている訳ではないですよ)。
 
もちろん「冤罪」案件も多いので、「不起訴率」が高いからどうこうと簡単に論ずることは出来ないのは承知しているが、それにしても凶悪犯罪の「不起訴率」が意外に高いというのは、警察の取り調べ能力にも関わっているのではないだろうか。改善が必要だと思うのだが…。
(続く)
 

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