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野田市教委が屈した「親権」ゴロへの対処

 
千葉県野田市の実父による児童虐待・殺害容疑の件、やはり実母も共犯だったか。
 
読売新聞24日配信記事↓
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小4死亡 母も逮捕へ…傷害容疑 夫の暴行止めず
千葉県野田市の小学4年栗原心愛みあさん(10)が死亡し、父親の栗原勇一郎容疑者(41)が傷害容疑で逮捕された事件で、県警が心愛さんの母親(31)についても傷害容疑で逮捕状を取ったことが3日、捜査関係者への取材で分かった。4日にも逮捕する。県警は、母親が父親の暴行を止めなかったとして共犯関係が成立すると判断した。(以下略)
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結局、相変わらず警察は死亡者が出なければ動けない。もっともこれは仕方のない一面もある。純然たる刑事案件ならいざ知らず、児童虐待と云う民事の領域に跨った案件では、警察は動きにくいのである。
 
従って本来担当している学校、教委、児相などが児童虐待を未然に防ぐ必要があるが、当ブログの過去エントリーで度々述べているように親権者が「親権」を利用してゴネまくると処置無しとなってしまうケースが多い。
 
要するに子どもの人権侵害を救済できない最大の原因は、民法・第四章において規定されている「親権」に問題がある。
 
「親権」を主張し濫用する者が行う虐待等に対しては、「親権喪失宣告」といって公権力がその権利を喪失させられる事になっている。しかし過去の判例では、子供が死ぬ一歩手前までいかないと親権喪失宣告が難しいのである。
 
児童虐待事件が表面化せず、しかも虐待死亡事件が減らない一因には、裁判の判例が十分ではない事も大きい。
 
また「人身保護請求」と云って、「人身保護法」による人権救済手段を悪用する輩も存在する。虚偽の事由を何食わぬ顔で裁判所に申立て、子供を公権力の悪用によって連れ去ろうとする者がいるのだ。
 
しかも「親権」の移動は当事者間の合意があれば、現に子供を養育している者や子供自身の意思を聞くことなく移動出来てしまう。家庭裁判所は虚偽の事由であっても簡単に騙されるので、背景の事情を知ることが難しいのである。
 
● 以上のような事から筆者は10年前、子供の人権侵害に対処するための法改正の請願を行った。去る1月31日エントリー、
野田市教育委員会が児童殺害幇助か>

そこで書いた「~「親権」を主張し濫用する実親による児童虐待事案を防ぐ目的で、「公権力による親権喪失宣告」を容易にする民法改正を提唱・運動した」というのがこの請願で、下記はその時の要旨である。
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平成21年4月15日
藤田 達男
 
民法および家事審判規則、人身保護法の一部改正に関する請願
 
1.民法における「親権」の見直しと改正
民法 第四章 親権 においては、親権者の権利部分に相当の重きが置かれており、親権者による子どもの虐待および不当な権利濫用が頻発している現状において子どもの人権と権利保護が必要とされている観点からみると、著しく遅れていると言わざるを得ない。
 
2.親権喪失に関する条項の改正
民法 第八百三十四条では親権喪失についての規定があるものの、現実には親権喪失宣告がなされた事例は希少である。
公権力による宣告の重大性によるものと考えられるが、前述の親権者による子どもの虐待、および不当な権利濫用が頻発している現状を改善するためにも、喪失宣告の前段階として、「親権の一時停止」に類する宣告ができるよう改正すべきである。
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第八百三十四条  父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によつて、その親権の喪失を宣告することができる。
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民法 第八百三十七条における親権または管理権の辞退と回復に関する条文には、虚偽の事由による親権の移動が想定されていない。したがって、家庭裁判所の許可ではなく、子どもおよび実際に養育している者の陳述が必要である旨を追加すべきである。
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第八百三十七条  親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、 家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
 2  前項の事由が止んだときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。
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. 家事審判規則の改正
①親権者による子どもの虐待、および不当な権利濫用が頻発している現状に 鑑み、家庭裁判所の審判および調停に関する「家事審判規則」 第五十四条における子どもが陳述できる年齢を満七歳以上もしくは小学校一年生以上に引き下げる必要がある。
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第五十四条 子が満十五歳以上であるときは、家庭裁判所は、子の監護者の指定その他子の監護に関する審判をする前に、その子の陳述を聴かなければならない。
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②また虚偽の事由による親権の移動を防止するために、いかなる事由による 親権の移動もしくは喪失宣告の際には、その子と実際に養育している者の陳述を聞かねばならない旨、第七十七条に追加または新条項を制定するべきである。
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第七十七条 親権又は管理権の喪失の宣告を受けた者又はその親族は、その審判に対し即時抗告をすることができる。この場合には、即時抗告の期間は、本人が審判の告知を受けた日から進行する。
2 申立人又は子の親族は、親権又は管理権の喪失の宣告の申立を却下する審判に対し即時抗告をすることができる。
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. 人身保護法の改正
①現行の人身保護法においては子どもの意見陳述に関する規定が無く、現行 民法第四章と同様、子どもの人権と権利保護が必要とされている現代の観点からみると、著しく遅れていると言わざるを得ない。
従って満七歳以上もしくは小学校一年生以上の子どもの意見陳述を必要とする旨の新条項を制定する。
 
②人身保護請求の請求者が虚偽の事由をもって請求した場合の罰則が無い。 請求の濫用を予防するためにも、第二十六条(罰則)に追加規定を設けるべきである。
以 上
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そして翌年の1月21日、当時の民主党政権千葉景子法相の事務所を訪ねて民法改正をお願いしたところ、千葉氏はその翌日、法改正を進める旨の記者会見を開いてくれた。そして結果改正に至ったという成果も得ている。
 
産経新聞2010122日配信記事↓
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親権制度の見直し諮問、一時停止も
 千葉景子法相は22日の記者会見で、民法の親権に関する制度の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することを明らかにした。法務省設置の「児童虐待防止のための親権制度研究会」が今月まとめた、虐待を繰り返す親から子供を守るための一時的な親権制限などを盛り込んだ報告書を踏まえ、決めた。2月の法制審総会で諮問し、平成23年の通常国会に法案提出を目指す。
 児童虐待をめぐっては、児童相談所などの施設が保護した子供を、親が親権を理由に連れ帰る事例や、子供に必要な医療を受けさせない医療ネグレクト、学校に退学届を出し、辞めさせるなどのケースも多い。
 現行民法では、親権の乱用や親権者の著しい不行跡を要件として「親権喪失」の規定(834条)があるが、戸籍に記録が残るなど影響が大きいため申し立てや宣告が躊(ちゆう)躇(ちよ)され、適切に活用されていなかった。
 報告書では、児童虐待に適切に対処できるような親権制限の枠組みの必要性を指摘。家庭裁判所の審判により、一時的な親権制限が可能になるための制度設計などを論じ、児童養護施設長や里親の権限を、部分的に親権より優先させる考えも示した。
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ところがせっかく法改正が為されたにもかかわらず、その成果が児童虐待の現場で有効に活用されていない。実に不可解である。
 
もしかしたら、法改正で親権の一時的制限が容易になったことを認識していない関係者が多すぎるのではないかという懸念もある。関係各省庁が教育現場への指導を強化すべきではないだろうか。
 
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