賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

「賭王」スタンレー・ホー氏逝去


昨年2月以来香港で療養中だったマカオの「賭王(ゴッド・ギャンブラー)」こと実業家のスタンレー・ホー(何鴻燊)氏が昨26日午後1時頃、入院先の(香港)養和醫院で逝去した。享年98歳。

 

f:id:tafu1008:20200527150431j:plain

マカオ・シントラホテル内のホー氏銅像、筆者撮影)

 

マカオ澳門日報5月27日配信記事↓
… … … … … … … … … … … … … … …
賭王何鴻燊逝世
(http://www.macaodaily.com/html/2020-05/27/content_1437094.htm )
【本報消息】一代傳奇“賭王”何鴻燊昨日約下午一時在香港養和醫院逝世,享年九十八歲。
何鴻燊近年因身體轉差,長期在醫院休養。近日更屢傳病危消息,前晚開始何的家人輪流到香港養和醫院探視。何鴻燊家屬昨日下午約二時二十分齊集在醫院外向傳媒公佈何鴻燊離世的消息。(以下略)
… … … … … … … … … … … … … … …

 

ホー氏はコングロマリット信徳集団(Shun Tak Holdings Ltd. 香港上場、証券コード0242) の総帥()で、香港、マカオに於いて不動産、運輸、旅行、IRなどの事業を通じてマカオの発展に尽力した立志伝中の人物である。

 

※ 現在の会長は第二夫人長女の何超瓊(Ho Chiu King, Pansy)氏

 

信徳集団の有名傘下企業は下記の通り。

 

マカオの最大コングロマリット澳門旅遊娛樂股份有限公司(STDM)
 (http://stdmmo.com/index.html )

◎STDMの100%子会社でIR大手の澳門博彩控股有限公司
(SJM、香港上場、コード00880)
(http://www.sjmholdings.com/zh/ )

◎香港⇔マカオ間を高速艇で結ぶ信徳中旅船務管理有限公司
(https://www.turbojet.com.hk/tc/ )

f:id:tafu1008:20200527150503j:plain

(香港⇔マカオ間で運航しているターボジェット、筆者撮影)

 

ホー氏が特に尽力したのがマカオの賭博業の発展である。1961年、当時ポルトガル領だったマカオに於けるカジノ営業権の公開入札で、ホー氏率いるSTDMが一社独占入手して以来、約40年間に渉りSTDMと同社が運営しているカジノホテル「リスボア(葡京酒店)」はマカオの象徴的存在だった。

 

f:id:tafu1008:20200527150524j:plain

リスボアホテル、その奥はグランド・リスボアホテル。筆者撮影)

 

1999年12月にマカオポルトガルから中国に返還された後、中国政府とマカオ当局は2002年にSTDMが独占してきたカジノの経営権を3つに分割し、公開入札とした。

 

… … … … … … … … … … … … … … …
※このとき落札したのが以下の3社。
① 澳門旅遊娛樂股份有限公司(STDM、マカオ
② 銀河娯楽股份有限公司(ギャラクシーグループ、香港)
③ 永利度假村股份有限公司(Wynn社、米・ラスベガス)
さらにこのライセンスを分割することが認められ、銀河娯楽のサブ・ライセンスを入手したのが米ラスベガスの「ヴェネチアン」を経営するSands社。
… … … … … … … … … … … … … … …

 

現在のマカオIRの発展はここに由来するが、ホー氏は2009年7月に設立されたマカオ賭博業界の商工会「澳門娯樂場博彩業承批公司商會」の首屆主席(初代会長)に選出されるなど、依然として業界の重鎮として一目置かれる存在であった。

 

ホー氏は第二次世界大戦中、中立地帯だったマカオで日中英が共同参画した呉越同舟の商社「聯昌公司」の社員として各種ビジネスに従事していた。この由縁もあって親日家としても知られており、晩年に至っても少々の日本語会話は可能だった。

 

(※ご参考)2016年 1月 13日エントリー、
< 暗殺、戦犯裁判…マカオ大東亜戦争 >
(https://tafu1008.hatenablog.com/entry/14630925 )

 

ちなみにホー氏の第二夫人の一人息子である何猷龍(ローレンス・ホー)氏は香港IR企業・新濠國際發展有限公司(Melco International Development Ltd. 香港上場、証券コード00200)のトップで、日本IRの可能性に早くから関心を抱いていた。

 

彼は2011年2月に大阪市内で日本維新の会の橋下市長(当時)、松井大阪府知事(当時)と会談したのを皮切りに大阪IR参入に意欲を示してきたが、現在は横浜IRに参入すべく注力している。

 

マカオ発展のため中共の指導者たちと渡り合ったスタンレー・ホー氏の逝去はひとつの時代の終焉を暗示しているようにも思える。しかしマカオと香港の地位が保持される限り、氏の事業精神は後に続く人々に受け継がれていくだろう。

 

「神は全くもって公平である。必ず誰にでも一度や二度のチャンスを与えてくれるからだ。機を失わずにそれをつかめるかどうか、これこそが人生の分かれ道である」

 ― 何鴻燊 ―

 

… … … … … … … … … … … … … … … … … …
ブログランキングに登録しています。
応援いただければ、下記アドレスをクイックお願い致します。

https://blog.with2.net/link/?2009463 )
… … … … … … … … … … … … … … … … … …