賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

今月の歌「月に啼き候 あの野に鹿が只一声」

 

中秋の名月」が過ぎ、秋の気配が漂う季節となった(まあ9月なので当たり前だが)。かねてよりこの時期に閲覧されている当ブログの過去エントリーがある。

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(2014年9月9日エントリー)

< 今月の句「おごるなよ 月のまるさも ただ一夜」 >

(https://tafu1008.hatenablog.com/entry/13281611 )

 

独特なユルいタッチの禅画や書で有名な江戸時代の名僧・仙崖義梵(博多・聖福寺住職)が詠んだ一句である。

 

(禅画「○△□」 ※出光美術館蔵)

 

満月に仮託した戒めの句で、初秋の風情が良く表されている。

 

しかし今の時期の季節感を味わうならば、もうひとつお薦めの歌がある。それが、

 

「月に啼き候

  あの野に鹿が只一声」

 

これは室町時代に成立したとみられる『宗安小歌集』の中の作品のひとつ。

 

和歌や連歌と並んで室町時代~戦国期には、自由な詩型の小歌が流行した。おそらくは独特の節回しで歌われたのだろうが、現代に伝わっていないのが残念である。

 

しかしこの歌は、時代は変われど「もののあわれ」に代表される日本人の琴線に触れる佳作ではないだろうか。秋の歌として味わいたい一首である。

 

(※)『新潮日本古典集成 閑吟集 宗安小歌集』(1982・新潮社)

 

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