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クリミアと1938年独墺合邦、1910年日韓合邦

 
ウクライナ南部クリミア自治共和国住民投票によってロシアへの編入を希望し、またロシアがクリミアの独立を承認した件、今日(3/18)にはプーチン露大統領がクリミアのロシア編入を議会に提案した由。
 
その是非を論ずる以前に、ウクライナ騒乱から今日までのクリミアを巡る政治的な流れは非常にスマートである。ロシアは早々と進駐部隊を投入したものの、国際世界に見せつけるような露骨な武力恫喝をした訳でもなし、また旧ユーゴスラビアのように住民同士が大々的に殺し合いを演じた訳でもなし。まるで事前シナリオが十分練られていたかのようである。
 
奇しくも76年前の19383月、ヒトラー率いるドイツ第3帝国はオーストリアへ軍事侵攻し、「ドイツ帝国オーストリア共和国の再統合に関す法律」によってオーストリアを併合した(独墺合邦)。
 
独墺合邦の流れは以下のようなものであった。
   19382月、ヒトラーオーストリア首相を自分の山荘に呼びつけ、独墺合邦を強要。
  オーストリア首相は併合回避のため国民投票に訴えようとするも、翌312日にヒトラーは最後通告を発し、13日にドイツ国防軍オーストリア侵入。
  同日、「ドイツ帝国オーストリア共和国の再統合に関す法律」署名発効し、オーストリアは併合さる。
  410日、併合の是非を問う国民投票が行われる。
 
今回のクリミアの件との相似点は、
・ドイツとオーストリアは同一民族、同一言語。対してクリミアは6割がロシア系住民で、元ソ連領としての一体感も有する。
・ドイツ軍進駐をオーストリア市民は熱烈に歓迎、クリミアでもロシア軍に対して大方の住民が反感を示していない。
・事後のオーストリア国民投票の結果は、有効投票数の97%が併合賛成だった。クリミア住民投票も同様の結果。
 
一方、相違点は、
・クリミアは政治(議会)がロシア編入を決議、オーストリアは大統領、首相が抵抗。
・クリミアは先に住民投票オーストリアは事後に(ドイツの強引さに対して国民の反感が高まっていた2月に国民投票を行っていた場合、併合反対に傾く可能性が高かった)。
オーストリアに対しては、ドイツが露骨に軍事恫喝。
 
更に1910年の日韓合邦も参考になる。これは異民族間の合邦ではあるが、国際法上有効な「日韓併合条約」に基づいており、欧米諸国も承認・賞賛したものである。
 
クリミアの件との相似点は、
・韓国皇帝、政府が併合に同意していた。
・民間でも併合派で公称百万人の会員を擁する「一進会」が主導し、また100万人の韓国国民が「日韓合邦」を求める請願書を出していた。
 
対して相違点は、
・そもそも、ほぼ100%異民族。
・一般の韓国国民は併合当日に日韓合邦を知らされた。国民投票も無かった。
 
以上、ロシアは恐らく1938独墺合邦の事例や、また1910年日韓合邦の事例をよく研究していたのであろう。
 
歴史に学ぶ者は、したたかで強い。
プーチン氏畏るべしと云えようか。
 
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