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カジノ利権こそがクリミア問題の本質か~「日露同盟」の好機到来

 
ロシアのプーチン大統領が、自国に編入したウクライナ南部のクリミア半島にロシアとしては5番目の「カジノ特区」を創設する法案を下院に提出したのが、去る421日のこと。
 
一連のGlobal Gaming ExpoG2E ASIA 2014関係エントリーで書いたように、ロシアでは現在4ヶ所がカジノ合法区として設定されている。
 ・アルタイ(シベリア)地区のシビルスカヤ・モネタ
 ・カリーニングラード地区のヤンタルナヤ
 ・沿海州ウラジオストク地区のプリモライ
 ・ロストフ州クラスノダール地区のアゾフ
 
何故4ヶ所かと云うと、旧ソ連の崩壊後に国内の至る所でカジノ熱が高まり過ぎ、そのためロシア政府は2009年にゲーミング(カジノ)産業の大幅規制と大都市でのカジノ禁止(2006年にも出ている)、そして特定地区への集約化を実施する法案を提出、議会で可決したからである。
 
クリミアでの「カジノ特区」創設について各社のニュース解説では、クリミア住民への具体的な懐柔策であるとか、編入後のクリミア地区経済振興のためであるとか、或いは親ロシア派の多いウクライナ東部の住民に対する誘い水ではという視点で述べられていた。つまりクリミア編入後に出てきたアイデアという視点である。
 
ところが先日マカオで開催されたG2E ASIA 2014Global Markets Forum(環球市場論壇)」におけるロシアのゲーミング市場を分析解説したセッション、
Russian Revolution: Expanding Gaming in Legal Regions」を聴講し、また背景を調べている内、どうもウクライナとクリミアに於ける現在の問題の中のかなりの部分にIR(統合型リゾート)利権、つまり「カジノ利権」が関わっているのでは?という疑問が湧き上がってきた。
 
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G2E ASIA、研究討論会におけるクリミア地区でのカジノ導入に関する講義)
 
ウクライナでも2009年にロシアと同じ理由でカジノ禁止の法案が可決された。しかしクリミアは元々、ヤルタに代表される黒海に面した有数のリゾート地でもある。経済・財政面で厳しい状況のウクライナにあってクリミアの州政府当局は、2011年にクリミアへのカジノ再導入を盛り込んだ法案をウクライナ国会に提出している。ところがこれは採択されることはなかった。
 
しかしクリミア当局はカジノ導入の成功を確信しており、最近でもクリミア要人が「(クリミアは)マカオモナコ、ラスベガスの競争相手になるチャンスを持っている」云々と表明している。クリミアの独立とロシアへの編入は、ウクライナ混乱に乗じてというよりも、無為無策ウクライナ中央に愛想を尽かしたクリミアとカジノ利権を狙うロシアの思惑が重なったことが大きいのではないだろうか。
 
つまり「カジノ利権」への思惑こそが、クリミア問題の本質なのかも知れない。
 
だとすると、日本を含む西側諸国の対応は、とんでもない頓珍漢なものとしか言いようがなくなってしまう。特にクリミアの「住民投票~分離独立~ロシアへの編入」という一連の流れを尖閣や沖縄、北方領土に重ねて、EUやアメリカに追従する路線をとった日本政府や、そう主張したマスコミや有識者たちは始めからピント外れだったことになる。
 
日本がEUやアメリカに追従してウクライナ支援、そして対露制裁に加わったことをロシア当局は「意外だ」と評し、そして24日にはプーチン大統領自ら「驚きをもって聞いた」「(日本側が)北方領土交渉を一時的に中断していることも理解できない」と言っているのは、日本に対する脅しや揺さぶり、またはEU・米からの引き離し策などではなく、本当に日本側のアクションが理解できない為ではなかろうか。
 
プーチン氏はその一方で共同通信などとの会見の席上、北方領土問題について柔道の「引き分け」の精神を貫けば妥協は可能との見解を示したと報じられている。これは日本側への一種の「謎かけ」である。
 
つまり対ロ制裁で「中露軍事演習」のように中国と接近せざるを得なくなったロシアだが、「北方領土」が単なる領土問題解決に止まらず双方5分の「日露同盟」レベルまで発展できるバネになり得ると読んでいるから、「引き分け」の精神という話が出てくるのである。
 
対する日本はどう出るべきか。
 
まずは「謎かけ」に対して、「謎かけ」でもって答えるべきであろう。
 
ひとつは、沿海州ウラジオストク地区のプリモライ「カジノ特区」への日本企業参入を政府として支援したい云々という表現で表明する、という手がある。
 
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G2E ASIA研究討論会における、沿海州カジノ地区に関する講義)
 
このプリモライへは、既に昨年7月にマカオのカジノ王・何鴻(スタンレー・ホー)氏の子息で新濠博亞股份有限公司MelcoPBL社、澳・豪PBL社の合弁)」会長のローレンス・ホー氏がカジノ事業における権益の51%を取得する内容の契約をロシア側と締結している。そこに日本勢も参入させる訳である。
 
もう一つの手は、もっと直接的に、クリミアでのカジノ事業に対しての日本の金融界の投融資を支援すると表明してみること。
 
理想としては上記の2点を同時進行させてみたい。あっという間に日本を取り巻く情勢は好転する。そして米国やEUは、「カジノ」の話なので日本を非難することは出来ない。
 
これをやるか、やらないか、要は政府の肚ひとつである。
 
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