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香港、私の6月4日その2~本土派興隆と民主運動の今後

 
香港の恒例行事と化した香港島・ビクトリア公園サッカー場での
「六四集會」198964日の天安門事件を追悼する催し)
の参加人数は2009年以来、主催者発表で10万人台を維持し続けている。但し昨年の18万人に対して、今年は13万5千人と減少した。
 
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(6月5日付、蘋果日報1面)
 
集会を主催しているのは
「香港市民支援愛國民主運動聯合會」(略して「支聯會」何俊仁主席)
で、昨年オープンした「六四紀念館」(天安門事件記念館) を運営する民間団体でもある(穏健民主派の李卓人氏(立法會議員)が運営代表)。支聯會はすべての民主派を糾合する組織体として、長年「六四集會」を取り仕切ってきた。
 
しかし近年、以前のエントリーで述べた香港「本土」意識の興隆にともない、支聯會の活動方針に異を唱える急進的民主派人士が増加している。昨年来、急進民主派「熱血公民」や過激民主派の黃毓民氏(立法會議員)らが別の会場(尖沙咀・スターフェリー乗り場前の時計台下)で集会を開き、更に香港大学学生会も今年から学内の広場で独自の集会を開催した。おそらく来年もこの傾向は続くであろう。
 
支聯會が標榜している方針は、「釋放民運人士! 平反八九民運! 追究屠城責任! 結束一黨専政! 建設民主中国!」というもの。この中で議論を呼んでいるのが、「建設民主中国」という点である。
 
支聯會の発行している小冊子『六四答問』によれば、
「香港は中国の一部であり、香港人は自らの民主を勝ち取ると共に、中国大陸の民主主義建設を支持すべきである。香港の政治と大陸の政治は不可分の関係であるから、香港と大陸の民主化を同時に支持するのは非常に自然で合理的である」
と述べられている。
 
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ところが「本土」意識を持つ急進的民主派、特に生まれながらに「自分は香港人であって中国人ではない」と意識している若年層の人々にとっては、香港の民主化が最優先かつ全てであり、支聯會の説く「建設民主中国=中国本土の民主化」なんぞ、自分たちには関係のない話に過ぎない。
 
現実問題として「香港の中国化 → “亡港”」という危機が目前に迫っている現在、香港の問題が優先されるべきであって、中国の民主化云々は勝手にやってくれ・・・と思うのが香港ローカルの自然な感情であると言われれば、それに真っ向から反論するのは難しいのではないだろうか。
 
前述のように今年は香港大の学生会が「六四集會」から手を引き、また昨年の占拠を主導した大学連合体「學聯」(香港專上學生聯會、Hong Kong Federation ofStudents,の略称)も「學聯」名義での参加を取り止めてしまった。かろうじて香港中文大、樹仁大、城市大、理工大の4大学学生会が参加したが、これでは動員数が減るのも当然である。
 
しかも参加4大学の学生代表たちは、ステージ上で「香港基本法を燃やすという過激なパフォーマンスを演じ、更にこんなスローガンを掲げ、連呼していた。
「命運自主 港人修憲」
つまり、自分たち香港人自身の手によって“香港憲法”を制定する…という事。
もはや本来の「六四集會」の趣旨を超越してしまっている。
  
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(人が多すぎてステージまで行けなかった・・・筆者撮影)
 
新聞記事によると支聯會の何俊仁主席は、学生たちの気持ちはよく判る云々と大人の対応だったそうだが、心中穏やかではあるまい。しかし「本土」意識の興隆はもう止められないのだから、支聯會のみならず全ての穏健民主派は、香港の将来を担う10代、20代の若者たちの声によくよく耳を傾けるべきではないだろうか。
 
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