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祝!南鳥島レアメタル採掘商業化

 

先月13日エントリーで述べた南鳥島沖のレアアース鉱床

レアアースに依存しない技術開発 >

(https://tafu1008.hatenablog.com/entry/2020/12/13/005657 )

 

この採掘の速やかな商業ベース化を論じたが、政府はやっとその方針を固めた。

 

読売新聞1月18日配信記事↓

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【独自】南鳥島EEZでのレアメタル採掘、商業化へ…28年末までに技術確立

(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210117-OYT1T50136/ )

政府は日本最東端の南鳥島(東京都小笠原村)周辺の海底に埋蔵されるコバルトなどのレアメタル希少金属)について、採掘の商業化を進める方針を固めた。2028年末までに採掘技術を確立させ、排他的経済水域EEZ)内での採掘場所も決める予定だ。中国も同島周辺の豊富な海底資源に関心を強めており、資源確保に向けて対抗する狙いがある。(以下略)

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昨年7月に経産省所管の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」が南鳥島南方の我が国の排他的経済水域内において、世界で初めてコバルトリッチクラストの掘削試験を実施、成功しており、その成果を踏まえて商業ベースに乗せる一歩を踏み出したことになる。

 

もっともJOGMECが南鳥島沖の深海底レアメタル鉱床の商業ベースの開発可能性を探査するべく独占探査権(契約期間15年)を取得したのが7年前なので、随分と長い年月が経ったのだが。

 

以前話を伺った東京大学大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンター教授の加藤泰浩博士によると、世界のレアアース南鳥島レアアース泥には下記の特徴がある由(筆者メモ書き)。

 

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レアアースとは)

 「重レアアース」と「軽レアアース」に大別される。

⇒ 重要なのは「重レアアース」~Dy、Tb、Yb、Yなど

 

例えばハイブリッドカーに使われるのがDy、

トヨタ・プリウス1台で中国産Dyが3t必要

 

 レーザー、ミサイル誘導システムなど軍事技術に不可欠、国防総省が主導

 

 ⇒ 中国が全世界の97%産出、平成22年9月7日の尖閣漁船衝突事件以降、外交カード化する。

(※筆者注:実は鄧小平の1992年「南巡講話」でレアアース戦略が語られている)

 

   → 採掘と同時にその廃棄処分も必要 → 環境破壊の原因

(※中国は環境基準が甘く、環境破壊が酷い…それを今迄隠してきた。しかしこれからはそれを逆手にとり、価格操作してくる筈)

 

~ 海外レアメタル調達に460億円組み、ベトナムから購入

(※ところが重要度の低い「軽レアアース」だった・・・)

 

  • 我が国のEEZ 内に存在する鉱物資源

 1.海山のへりにコバルトリッチ

 2.マンガンクラスト

 3.海底熱水鉱床

 4.レアアース

 

レアアース泥の特長)

1.重レアアースの含有量が高い

  ⇒ 太平洋のレアアース泥濃度:中国の陸上レアアース鉱床の2~5倍

 

2.太平洋に広く分布、特にタヒチ、ハワイ沖

  埋蔵量膨大、陸上鉱床の1,000倍

 

3.資源探査がきわめて容易:1m程度でOK、4点採取でよい

 

4.トリウム、ウラン等の放射性元素を含まず

 

5.レアアースの抽出が窮めて容易~常温の希酸(酸化力を持たないもの)に短時間漬けてOK

 

 

タヒチレアアース泥)

・フランスは海洋開発に熱心、テクニップ社やロディア

南鳥島が水深5,700mなのに対して、タヒチは水深4,000mと採掘し易い

(※フランスと中国が手を組む可能性あり、要注意)

 

南鳥島レアアース泥の特長)

  • レアアースのホスト相はアパタイト~堆積物中のアパタイトに保持される

 

  • 南鳥島は元々1億5千万年前にタヒチ沖で生成し、太平洋プレートの移動に伴い西北へ移動、現在の地に。その過程で南鳥島付近のプレート上にはレアアース泥が堆積している。

 

 中国の10~20倍、タヒチ沖の4~6倍、ハワイ沖の10倍

 

  • 水深5,700m以下にあり、2m厚

 

 

  • アパタイトだけを効率的に採取できる~アパタイトは粒度が荒いため

 

  • レアアース泥の開発システムについては三井海洋開発と共同研究。三井海洋の見積りでは、採掘船1隻で300万トン/年採掘→ 年間国内需要OK

 

 

  • 海洋中のレアアース泥採掘は環境破壊の恐れがない。またレアアース採取後の残泥は埋め立て材料や建設資材として使用できる。

(例)残泥と炭酸カルシウムを混合→ セメントの原料に…太平洋セメント

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今回の発表では商業ベースの採掘を進めるという方針が固まったものの、その技術確立と採掘場所決定を2028年末までとしており、本格的な採掘と供給にはなお多くの時間が必要である。

 

しかし南鳥島沖のレアアース鉱床開発によって未だ中国が主導権を握っているレアアース市場の構造が根本から覆されれば、それは我が国の国益に資するだけでなく世界各国に安定供給の道を開くことになり、真の国際貢献となるであろう。

 

そして喫緊の問題は、中国政府の船舶が海上保安庁等の警告を無視して南鳥島から沖ノ鳥島周辺海域に出没し、海底探査を続けている現状に対して有効手を打つ事である。

 

またハワイ沖のレアアース泥鉱床を抱えるアメリカと共同してレアアース泥開発を行い、中国に対抗するのも有力な選択肢となるだろう。

 

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