賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

レアアースに依存しない技術開発

 

1992年1月18日から2月21日にかけて、中共の鄧小平が武昌、深圳、珠海、上海などを視察し、改革開放路線の継続と、資本主義を手段として利用すると内外に声明した。所謂「南巡講話」である。

 

この南下行の本質は六四天安門事件 (1989年)、ソ連崩壊 (1991年)で自身が提唱した改革開放路線に疑問符がもたれ、権力失墜の危機に陥った鄧小平による起死回生の反撃行動であった。

 

「南巡講話」で鄧小平が述べた内容の内、有名なのは「要害是姓“資”還是姓“社”的問題」、つまり急所は表看板が“資本主義”か“社会主義”という問題。これは例の「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのがいい猫だ」という発想である。

 

そしてもう一つ重要なのは、「中東有石油、中国有稀土、一定把我国稀土的優勢発揮出来(中東に石油あり、中国にレアアースあり、我が国はレアアースで優位性を発揮できるだろう)」と述べたことである。

 

(参考資料)

中共深圳市委宣伝部編、1992年4月第一版『1992春 鄧小平与深圳』

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当時は世界のレアアース埋蔵量の85%が中国に存在すると認識されており、中国はその後レアアース生産と世界への供給を戦略的に推し進めていった。

 

その結果、2010年代には中国の世界供給シェアは最大97%にまで達している。現在では中国のシェアは79%になっているものの、依然として世界最大の供給国であることに変わりはない。

 

ところが昨今の中共コロナウイルス騒動で露呈したのが、コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーン寸断リスクである。そこでレアアースに依存しない、もしくは使用量の削減を実現する技術開発が喫緊の課題となっているのである。

 

去る9日~11日まで東京ビッグサイトで開催された、

・第20回国際ナノテクノロジー総合展

及びエネルギー総合展、

・ENEX2021 第45回地球環境とエネルギーの調和展

・DER Japan2021 分散エネルギーとデジタル技術の融合展

を参観したのだが、

 

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個人的に目的だった展示は、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOさんのプロジェクト、

「次世代自動車向け高効率モーター用の磁性材料技術開発」であった。

 

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このプロジェクトは輸入に依存しているレアアースの使用量削減が期待できる革新的高性能永久磁石、低損失な高性能軟磁性材料の開発と高効率モーター設計技術の開発により電動自動車や産業用モーターの省エネ化を図ることにある。

 

展示ブース内では高性能磁石の試作品展示や高効率モーターの動展示もあり、近々の実用化が期待できるものであった。

 

レアアースに関しては2012年6月に南鳥島沖のレアアース鉱床が発見されて以来、東大や早大の研究チームが分析を進めており、埋蔵資源量が世界の消費量の数百年分に相当する1600万トン超に達することが明らかになっている。

 

また中国をはじめとする世界の陸上レアアース鉱床に比べ、南鳥島レアアース泥は堆積量、重レアアース含有量、濃度、環境問題の点で遥かに優位にあることも判明している。

 

ところが発見後8年も経つというのに、未だ商業ペースの採掘見通しが立っていない。そこで一日でも早く南鳥島レアアース泥の採掘が商業ベースに乗るよう、我々は政府を後押しする必要があるが、同時にレアアースに依存しない上記の技術開発も早期に推し進めるべきであると痛感した展示会であった。

 

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