賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

カジノ解禁~日本への期待と課題…マカオ G2E ASIA 2014 閉幕

 
蒸し暑いマカオから東京に戻ってみると、予想外に気温が低いのに驚いた。それはともかく、先日来書いているマカオでの Global Gaming Expo(G2E ASIA 2014)は一昨日閉幕した。研究討論会(有料)の内容を詳細に出すのは著作権に引っかかる可能性があるので、大まかなポイントを述べてみたい。
 
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(会場 The Venetian Macao 』夜景
 
20日のGlobal Markets Forumで一番印象が強かったのは、やはり世界のゲーミング業界関係者の日本市場への注目である。何と云っても一番には2020年の東京オリンピックというファクター、これが世界のゲーミング業界に強いインパクトを与えている。
 
また日本はシンガポールのIR誘致成功との対比で語られることが多く、巨大な日本市場は今国会におけるIR法案の成立によって、シンガポールのカジノ建設過程よりも早いスピードでIR建設が進むのではないかという見解もあった。
 
注目すべき提言としては、日本独特のゲーミングコンテンツを打ち出すべきではないか、という意見があった。実はこの点については、IR議連でも既に話題に上がっている。海外訪日客を一過性のものとするのではなく、「日本」へのリピーターを増やすという観点から考えれば、ラスベガスやマカオの二番煎じのスタイルやアトラクションを展開するのは賢明ではない。
 
「日本らしさ」をどうアピールしてゆくか、これはカジノ運営事業者を選定するに当たって、行政側が条件の一つとして提案を要求すべき事柄であろう。
 
また、幾つかの疑問や検討点もあった。政府または地方自治体がカジノ運営者に賦するタックスもそのひとつで、たとえばシンガポールが最大39%(法人税17%+カジノ税22%)、マカオが41%(マカオ法人税ゼロ)であるが、日本はどうするのか、という点や、日本社会のギャンブル許容度について、それから日本の某英字紙の記者が質問していたが、公明党のカジノ反対でどうなるか、沖縄にIRをつくる選択肢があるのかといった話や、東京オリンピック後の展開についても質問があった。
 
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 ロシアにおけるゲーミング業の展開に関するセッションも注目すべきものがあった。現在4ヶ所が合法区設定されているそうだが、その内のひとつは日本海に面した沿海州カジノである。ここでも日本人観光客に対する期待が述べられていた。
 
その他、ベトナムカンボジアにおけるIR、ゲーミング業の展望と課題についても興味深いものがあった。特にベトナムはIR開業後、チャイニーズ旅客が増加しているが、南シナ海紛争と国民の反中意識の高まりもあり、取り組むべき課題が多いようである。
 
21日のGeneral Sessionsの中のひとつ、
China Confidential: The Chinese Consumer and Gaming Trends
では、中国経済の分析と今後の予想、特に「シャドウ・バンキング」、つまり中国の地下経済に関する分析が秀逸だった。全世界のゲーミング業界に占めるチャイニーズの動向が大きいのは当然だが、改めて中国の地下(闇)経済の巨大さ(と異常性)を再認識した次第である。
 
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(コーヒータイムにて。)
 
またIR(カジノ)が各地に出来た場合の日本市場規模を年間400億米ドルと見る分析が独り歩きしている観を受けた。これは研究討論会の他、何人かの業界関係者との会話や業界紙を見ての私の印象ではあるが、そもそも「年間400億米ドル」という数字の出所が、よく判らない。
 
ただし似たような数字を出しているのが大阪の(あまり聞いたことのない)某私立大学のレポートと某教授なので、この辺りから数字が業界内で独り歩きしているのではないだろうか。しかしそんな数字が全世界で出回っていること自体に、世界の日本に対する期待と、双方の認識の乖離とが判るのである。
 
同時開催された<Exhibits(展示会)>では、毎年の常連に加えて「セガサミー」社など多数の初参加企業・団体の展示が目立った。これについては別エントリーで書いてみたい。
 
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