賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

児ポ法罰則適用~『徳川セックス禁止令 色情大名』

 
昨年施行された「改正児童ポルノ禁止法」。単純所持についた「1年間の猶予期間」が今年7月15日に終了し、今後は銃砲刀や麻薬と同様に罰則が適用されることになる。
 
この児ポ法の運用や罰則に関する問題点はかねてより多くの方々が指摘してきた通りで、読者の皆様の方が詳しいと思う。法令の運用は、時として当初制定した意図と大きくかけ離れることがある。そして立法者はその責任を常に負うかと云えば、そんな事は有り得ないのである
 
例えば川崎市 子どもの権利に関する条例」の中身が、実際の児童の人権侵害事案に対してまったく無力であるのがいい例である。条例制定に賛成した市議会議員の大半は、児童保護の意図で賛成したのだろう。しかし現実は私がかねてから述べてきた通りである。
 
先に断っておくが、児童保護は絶対に必要である。幼児性愛者などという変態的存在は地球上から抹殺されても仕方ないと考えているし、擁護もできない。
 
香港やマカオでは『週刊現代』や『週刊ポスト』も成人指定でビニール袋入りになっている位だから、日本においてもコンビニで売っている成人向けアニメ等は全て袋入りで販売するよう強制すべきなのである。
 
しかしながら、「児童保護」を大義名分として誰でも逮捕できる法律を作っていい訳はない。そして事実上の「表現の自由規制」によって、“お上の批判を許さない”という土壌が形成されることは由々しき事態であると考える。
 
いまだ水面下でくすぶっている「人権擁護法案民主党案では「人権侵害救済法案」)」と同様に、「改正児童ポルノ禁止法」も、推進した議員の大半の思惑を外れて、とんでもない結果を生み出す危険性が充満しているのである。
 
今回ご紹介するのは、この危惧を先取りした感のある東映の名作艶笑ポルノ映画『徳川セックス禁止令 色情大名』(昭和47年)である。
 
 
イメージ 1
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● 時は江戸時代、11代将軍徳川家斉治世の頃。家斉54番目の息女清姫が、九州唐島藩藩主で34才独身の小倉忠輝に降嫁と決定した。典型的な政略結婚である。
 
ところがこの忠輝、武道一筋で女にはまったく興味なく、清姫の嫁入りにも困惑気味。家老・米津勘兵衛のアドバイスで「御家のため」と初夜を向かえたが、清姫は忠輝の手荒な振る舞いにへそを曲げてしまう。
 
幕府への体面もあり、家老たちは清姫の機嫌を直す手段として殿様を女好きにさせようと判断、藩出入りの商人・博多屋に快楽指南を依頼。腹にいちもつの博多屋は、フランス娘サンドラ・ジュリアンを献上する。彼女の美貌とテクニックに忠輝はすっかり参ってしまい、打って変わって女好きになるのだが、へそを曲げた姫とは上手くいかず、なんと忠輝はフランス娘を側室としてしまう。
 
ますます怒り狂う清姫とお側の腰元たち、そして狼狽する家老らの板ばさみとなった忠輝は鬱屈を晴らすかのように、ある日城下を視察。ところが自由恋愛を謳歌している庶民の現状を見、我が身の窮屈さに比べて下々の者がやりまくっているのに憤慨し、藩内に前代未聞の「閨房禁止令」(劇中では「禁令175条」)を発令するのである。
 
当然、領内では違反者が続出し大混乱。新婚初夜の町人宅に役人が踏み込むわ、その役人も鼻血を出して仕事にならないわ、挙句に抱腹絶倒の「やらせろー」と叫ぶ百姓一揆まで起きてしまう。
 
遂に忠臣・成瀬正孝がサンドラと敢えて不義密通し、「愛を誰も拘束できない」と殿様に諫言の上、自害。出入り商人の博多屋が実は転びバテレンだったり、サンドラも実は処刑された宣教師の娘だった事が発覚し、「禁令175条」によって処刑されてしまう。
 
このような多くの犠牲を払い忠輝はやっと反省、この馬鹿げた禁令を廃止するのである。かくして藩内の上下は大喜び、翌年の新生児出生数は通常の数倍となり、唐島藩は生産力の増加によって後々まで繁栄した…
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ここまで書くと非常にあほらしいストーリーだが、この「禁令175条」というのは現代の刑法第175条(わいせつ物頒布陳列禁止)のパロディである。当時「日活ロマンポルノ摘発事件」が発生し、その抗議的な含蓄もあるようだ。
 
特に印象的なシーンは冒頭に述べた法令の暴走に関わっている。
 
愛妾サンドラが処刑された現場に駆けつけた殿様が、その場に控える家臣たちに怒りを込めて問う。
 
「誰の許しを得て、サンドラを処刑致した!」
 
しかし筆頭役人はこう返答するのである。
 
「禁令を破ったものは、全て処刑されます。法は既に殿の手を離れて、生きております・・・」
 
ここで自身が布告した禁止法の実際を知って、愕然とする殿様…
 
この作品を単純な艶笑ポルノ映画と見くびる勿れ。
 
全ての国会議員に是非見てもらいたい作品である。
 
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