賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

日本人より中国客…日産は日本を捨てるのか

 
スカイライン」と云えば、誰でも知っている日産のブランド車。ところが、当の日産そのものが、自社製造の車に付けている「日産」のロゴ・バッチを捨てるという。
それも中国富裕層ユーザーの“気持ち”を忖度して。
 
自動車専門誌『ホリデーオート』5月号の記事「日本車のデザインにモノ申す!」に、新型スカイラインに「インフィニティ」のバッチが付けられた経緯が載っている。そこには、日本人ユーザーよりも海外ユーザー、特に中国富裕層ユーザーの“気持ち”を忖度し、尊重しようとする日産の姿勢が描かれている。
 
記事より↓
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「このクルマに日産ブランドのバッチを付けるわけにはいかなかった」と、日産デザインを率いる中村史郎CCO=チーフクリエイティブオフィサーは告げる。(中略)たとえば、中国から日本に来た旅行者がスカイラインに日産バッチが付いているのを見たら、どう思うだろう? 彼らの多くは富裕層で、インフィニティのユーザーもしくは潜在顧客。「プレミアムブランドであるインフィニティが、実はそうではなかったのかと思われたら大きな問題だ」と中村CCO。これが第一の理由である。
 日本以外のすべての仕向地で、インフィニティは独立したブランドとして販売されている。世界から日本を見るという視点に立てば、日本でインフィニティ系車種に日産バッチを付けることは、インフィニティのブランドイメージを毀損しかねない。
 ましてや中国はインフィニティにとって最重要市場だ。(中略)「中国では日産とインフィニティの関係をご存じないお客さまも多い」(中村CCO)というのだ。(以下略)
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この記事から判るのは、
 
日産自動車が自社の「日産」という名前と「NISSAN」ロゴ・バッチに誇りを持っているどころか、逆に“恥”ですらある…と考えているらしいこと。
 
・中国の既存ユーザーだけでなく、まだ日産車を買ってもいない“潜在顧客”がどう思うかを手前勝手に忖度し、それに価値観を合わせようとしていること。
 
・今、全世界にブームを巻き起こしつつある「クール・ジャパン」の波に乗って、既に世界的な「日産バッチ」を“カッコいい”イメージで売り出せばよいのに、勝手な思い込みで「インフィニティ」バッチを選択しているらしいこと。
 
そして、このような日産の姿勢の行き着く先には、日本人ユーザーよりも海外ユーザー、特に中国の富裕層ユーザーと“潜在顧客”を尊重し、自社と日本人の価値観を曲げて迎合しようという未来が待っている。
 
もっともこの傾向は日産に限った事ではないのかも知れない。
 
例えば「英語」。文科省と下村大臣は小学校低学年からの英語必修化を推し進めようとし、また各企業に於いても“社内英語化やら、昇格人事選考でのTOEIC受験必修やらを導入する処が増えていると聞く。
 
たしかに外国語を知ることは、知らないよりもずっといい。しかし今の「英語」重視論者の大半は、「言語」普及が安全保障につながることを理解していない。自国「言語」を普及させることは、言葉だけでなく文化や歴史、伝統、そして価値観をも普及させることに通じている。従って英米、特にアメリカは、「英語」の普及がどういう効果をもたらすかを十分承知している国といえる。
 
そして中国が全世界に『孔子学院』なるものを展開しているのも、アメリカのその戦略意図を理解しているからである。
 
翻って我が日本では、せっかくの世界的「クール・ジャパン」ブームを有効に利用しようという戦略的発想を持っている人が非常に少ない。いま求められているのは、日本国内での今更の英語普及ではなく、逆に「日本語の国際展開」であるにも関わらず、である。
 
日産の話に戻ると、かく云う私の愛車は18年前に新車で買ったフェアレディZ(Z32300ZXツインターボ)である。走行系を改造しまくっているものの、現在まで大きな故障も無く快調に動いている。「技術の日産」というイメージは伊達ではない事を証明しているが、現・日産首脳陣が上記のような考えを改めないとするなら、次に買い替えるクルマの選択時には、日産を外さざるを得ないだろう。残念なことではあるが。
 
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