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香港民主派が旺角で反攻、「無畏無懼」更なるアピールを

 
 
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學生運動無畏無懼
 
香港の民主派学生がよく使うスローガンのひとつ「無畏無懼」とは、「怖気づくこと無し、恐れること無し」といった意味。冒頭の画像は学生団体『學民思潮』のもの。今や世界が注目する18歳、黃之鋒君を代表とする組織である。
 
その民主派が占拠している3地帯では、既に報道されているように手薄時を狙われてバリケードが撤去され、幹線道路が通行可能になったりしているが、昨日(18日)午前に九龍半島の繁華街・旺角で民主派市民・学生が反攻に出て、警察に排除されていた地域を奪還した。
 
読売新聞10181515分配信記事↓
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香港デモ隊9000人、車道を奪還26人逮捕
【香港=鈴木隆弘、比嘉清太】香港の行政長官選挙の民主化を求める学生や民主派団体支持者らと警官隊は、17日夜から18日未明にかけて、九竜半島の繁華街・旺角(モンコック)で断続的に衝突した。
 警察はデモ隊の26人を逮捕、警官15人が負傷した。警察発表によると、デモ隊の規模は約9000人に上ったという。
 17日早朝には警官隊が路上のバリケードを撤去し、交通を一部回復させた。だが、反発するデモ隊が18日未明から警官隊を押し返し、バリケードを新たに構築。1日もたたないうちに、デモ隊が車道を奪還した。
 デモ隊は急進民主派政党などの呼びかけで集結。香港政府との正式対話の準備を進める学生組織は統制できていない。対話が実現しても混乱の収拾につながるか不透明感を増している。(以上引用)
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過去に香港警察が発表した民主派デモ参加数は毎回概ね実際の1/31/5であるから、今回の奪回作戦に出動した民主派学生・市民の数は2万~4万人の筈である。
 
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  7月1日大遊行(デモ)の場合
香港島最大の繁華街・銅鑼灣(コーズウェイ・ベイ)から中環(セントラル)に至るメインストリートが、デモ参加者に占拠された状態に。主催者発表で51万人が参加(警察の発表は98千人)。ちなみに香港の人口は2013年調査で約720万人。
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私は過去エントリーで旺角の占拠について疑義を呈してきたが、先日の香港訪問中で占拠の仕掛人から直に話を聞いて疑問が解けた。もっとも現在進行形の話なので、こんな弱小ブログであっても書くのは憚られる内容。
 
ちなみに「旺角」に関しては産経新聞が一昨日(17日)に出した記事、
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【香港民主化デモ】「あいつらはデモ終われば高収入」低所得“MK族”にくすぶる不満 一方で路上日本語講義も
 
そこでは下町・旺角にちなみ「MK族」などと呼ばれる、民主化や選挙なんぞに無関心の底辺若者層を取り上げられていて、記事自体は面白い。
 
旺角と云う街は幹線道路沿いの表通りがブランドショップや宝飾品店、高級時計店、道路の東西へ踏み込むと若者が集まるカジュアルショップやスポーツ用品店、携帯・電器店に観光客も数多く訪れる「女人街」などの市民密着エリア、そしてさらに奥の通りは自動車整備・パーツ販売、工作機械部品卸、建材販売店など職人系の色濃いエリアである。
 
街自体が“格差社会”の縮図と言えば言えないことも無いが、それを言うなら東京だって一般的市民とDQNの多い下町地帯の若い連中の対比は“格差社会”そのもの。カスにばかり焦点を当てても無意味ではないか。
 
それよりも香港民主派は無関心層にアピールする手段として、非常識ヤンキーや政治に無関心で投票に行ったことも無い連中にすら「選挙権」「被選挙権」を与え続けて、いつでも気付いた時に政治参加出来るよう図っている日本を例にとってみるべきではないだろうか。
 
海峡という自然障壁で大陸と一線を画せる台湾とは違い、陸続きの香港が蒙っている中共の圧力は桁違いの物がある。しかし陸続きであるが故に、香港の民主派勢力の伸長と真の公正な普通選挙の実施が、中国大陸の民主化に与える影響は極めて大きい(それが故に中共は「一國两制」と普通選挙国際公約を反故にしてまで、香港の民主主義を殺そうとしているのだが)。
 
今回の香港各地帯の占拠は、元々が国際金融街中環(セントラル)の占拠、つまり「佔領中環」~「和平佔中運動」(略して「佔中」)という手段で、まやかしや押し付けではない真の普通選挙の実施への譲歩を中共と香港政府に迫るという趣旨のものである。
 
前から述べているように、これは「佔中三子」と呼ばれる戴耀廷(ベニー・タイ)・香港大学法律系副教授、陳健民・香港中文大学副教授、朱耀明・牧師をはじめとする著名各界民主派の人々が提唱している政治手法で、1万人以上の民主派人士で「佔領中環」状態を作り出すが、かつてアメリカでキング牧師が展開した「公民権運動」を範として、あくまでも非暴力を貫き、中共と香港政府に圧力をかけるというもの。
 
「和平佔中」の方法論は、以前よりご紹介している副教授の著作『佔領中環』の中で詳細に論じられている。
 
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「佔中」運動の提唱者、戴耀廷(ベニー・タイ)香港大学法律系副教授が著した佔領中環(香港・天窗出版社、20137月初版)
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その『佔領中環』P.74では、「建制派」と呼ばれる親中国派にも真の普通選挙のメリットを考えさせ、彼らの支持をも取り込むことが必要であると説かれている。またP.96では、一般市民からの支持を得るに止まらず、香港政府の職員や各種公務員、警察らの支持をも取り付ければ、真の普通選挙を勝ち取るチャンスも増大すると説かれている。
 
「和平佔中」が今後も広い階層の支持を得てゆくためには、まず一般市民層を固めて中共の分断工作を徒労に終わらせることである。その意味で、旺角に代表される無関心層「MK族」をも取り込むアピール戦術が実行に移されるべきではないだろうか。
 
blogをご覧になっている香港の皆さん、ご一考いただきたく。
 
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