賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

電通過労死、鬼十則は関係ない

 
一連の電通にまつわる問題を世の中に曝け出せるようになったのは、確かに良いことだ。今まではマスコミが「報道しない自由」を行使して、大スポンサー様を守ってきたから、これは大きな変化であろう。
 
その一環なのか、NHKが一昨日夜(11/3)のニュースで電通の「鬼十則」を取り上げた由。また今朝(11/5)の番組でも再度取り上げていたらしい。
 
 
イメージ 1
(画像引用元:IT速報さん)
 
この「鬼十則」は昭和26年、広告の鬼と呼ばれた電通4代目社長の吉田秀雄氏によって作られたもの。電通社員の行動規範と言われている。
 
既報の東大出美人社員自殺事件に関して、「鬼十則」の内容をネガティブに報道したそうだが、こんなのは筆者にとって至極当たり前の条項としか思えない。
 
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1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
 
2.仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
 
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
 
4.難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
 
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは。
 
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
 
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
 
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
 
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
 
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
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但しこの鬼十則」、いろいろな業種の企業、特に中小企業のオーナさんの中に、これを社訓として強いている方も居られるようだが、それは違うのではないだろうか。「鬼十則」はすべてのサラリーマンに相応しい訓則とは言えない。
 
この各条は、「志(こころざし)」を持っている個々人が自身の「規範」として実践するところに真価があると思う。その「志」は会社の仕事だけでなく、生涯を賭けるに相応しい事業を成し遂げんとする意思でもある。
 
江戸時代の儒者佐藤一斎の「言志録」第六条に曰く、
 
「学は立志より要なるは莫し(なし)、而して立志も亦之れを強いるに非らず、只だ本心の好む所に従うのみ」
 
つまり「立志」は大事だが、それは強制するものではない。個々人の本心の命ずるところに従うだけである・・・という事。
 
従って、「志(こころざし)」を持っていない大多数のサラリーマン(社会人)に「鬼十則」を唱和させても無駄である。
 
本家の電通が「鬼十則」を社員の規範とするのは当然だが、他の企業が真似をする必要はない。昔の何処かのCMではないが、「違いの判る」者だけが自身を律する「規(のり)」として実践すればよいのである。
 
今回の電通過労自殺事件に関してNHKと同様に「鬼十則」自体を取り沙汰する向きもあるようだが、「鬼十則」は関係ない。
 
前にも書いたように電通の問題は、過日発覚したネット広告で4年間に633件、約2億3000万円の過剰請求等の悪事やタックスヘイブンを使った租税逃れ、そしてパワハラ、セクハラ、もしくは枕営業疑惑などにある。その点をしっかりと押さえておくべきではないだろうか。
 
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