2009年1月、東京地検特捜部は外為法違反容疑で、準大手ゼネコン「西松建設」元副社長ら4人を逮捕した。容疑は同社が海外(香港)でつくった裏金約7000万円を無届けで国内に持ち込んだことである。その後の調べで、同社は海外事業で捻出した裏金(総額10億円以上)を香港のペーパー会社名義の銀行口座で管理し、約3億3000万円を不正に国内へ持ち込んでいた。
この事件はその後の小沢一郎氏の秘書逮捕以来、一連の旧民主党がらみの事件の発端となったものであるが、その背後には西松建設が最大の献金を行っていた小沢一郎氏が、親北朝鮮だった故・金丸信の人脈・金脈を継承していたという事がある。そしてゼネコンと朝鮮との関係は、大日本帝国の朝鮮経営に深く由来している。
●戦前の朝鮮、満州には多くの建設会社が進出し、インフラ整備の土建工事を受注していた。代表的な会社が鹿島組(現・鹿島建設)、大倉土木(現・大成建設)、大林組、西松組(現・西松建設)、鴻池組、奥村組、清水組(現・清水建設)、飛島組(現・飛島建設。また熊谷組と前田建設工業の母体)、間組(現・安藤ハザマ)、鉄道工業、西本組(現・三井住友建設)、松村組などである。
朝鮮水力発電株式会社は日本窒素肥料(日窒)が朝鮮に大規模な化学コンビナート建設を目論み、100%出資で設立した会社である。日本窒素肥料は戦後改称し、チッソ株式会社となる。あの「水俣病」で有名な会社であるが、旭化成、積水化学工業、信越化学工業の母体でもある。
昭和13年には鴨緑江水力発電株式会社が計画した水豊発電所(ダム)建設工事を両社が受注。満洲側は西松組、朝鮮側は間組が請負った。昭和19年に竣工したこの工事は「世紀の大ダム工事」と呼ばれ、当時世界最高峰の水準を誇る発電設備など、日本の技術の高さを示すものであった。
● 平成16年10月、第2回日朝実務者協議が開催された直後に我が国の大手ゼネコン10社が北朝鮮訪問を計画しているというニュースが報ぜられた。
この訪朝の仲介をしたのが朝鮮総連で、目的は「日朝国交正常化」後の“戦後賠償”やODAという形態をとると予想される経済支援によって発生するインフラ整備事業の下見と、営業活動のためというものだった。
産経新聞の報道と民族派各団体の抗議に加え、日朝交渉に影響が懸念されるとして外務省も訪朝団ゼネコンに中止を要請。その結果、大成建設・大林組・フジタ・ハザマ・前田建設工業・清水建設・五洋建設の7社は中国・瀋陽から引き返した。
おそらく基礎社会資本の整備を受注したいという思惑の他、もうひとつ重要かつ北朝鮮が切羽詰っている問題、つまり戦前から稼動している重工業設備やダム、発電所などの土木構造物の補修工事の受注であったと思われる。
これは即、カネになる仕事であるし、北朝鮮にとっても最優先すべき作業。つまり双方の思惑が一致する。また遡れば、故・田中角栄元首相の建設利権がそもそもの発端で、田中氏没後の利権は故・竹下登元首相、故・金丸信氏へと継承されている。
この田中派 → 経世会の政治権力をバックに“談合の帝王”と呼ばれ、関西土建業界に君臨したのが故・平島栄(さかえ)元大林組顧問・西松建設相談役。元々大林組で談合を仕切っていた平島氏が西松に移籍した際に口利きしたのが、金丸信氏であった。また金丸氏次男の妻は西松建設元社長・杉本氏の娘である。つまり西松建設は金丸信氏の親族企業と言える。
前述のように親北朝鮮だった金丸信氏の人脈・金脈を継承する小沢一郎氏であればこそ、西松建設も最大の献金を行っていたのではないだろうか。それに加えて「民主党政権」となったら、朝鮮勢力とその人脈が公然と跳梁跋扈するのは自明の理。従って北朝鮮への事業展開も容易になることから、当時野党であった民主党の小沢氏に最大額の献金が実施されたと思われる。
●上記のゼネコンと北朝鮮とのしがらみは、現在北朝鮮を支配している“金王朝”体制が続く…という前提の下で存続している。しかし今般の金正男暗殺事件やそれ以前から続いている北朝鮮国内での一連の粛清事件により、さしもの“金王朝”体制も崩壊の兆しが見えている。
そして中国の暗黙の了解の下、米国が“金王朝”を潰す方向で動いた場合、かつての大日本帝国がらみの朝鮮利権の構造はどう変化してゆくのであろうか。折しも戦前、北朝鮮の水豊発電所に当時世界最大の発電用水車を納入した東芝が経営危機に瀕しているが、これは何かの象徴的事件なのかも知れない…。
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