昨23日の全国高校野球選手権大会決勝は神奈川県代表の慶應義塾高校が107年ぶりの優勝を果たした。
周知のように神奈川県は高野連加盟校数(令和5年度)が東京都、北海道に次ぐ全国3位の188校(ちなみに4位は愛知県、5位が大阪府)。そして甲子園常連の強豪校がひしめく激戦区として知られている。
慶應は神奈川大会では準決勝戦で強豪・東海大相模に勝ち、決勝戦では横浜高校に逆転勝利。そして全国大会も勢いが衰えることなく遂に優勝を勝ち取った。
巷間に流布している有名な台詞、
「神奈川を制する者は全国を制す」
これが伊達ではないことを改めて全国に知らしめたのではなかろうか。
慶應野球の特徴に関して面白い記事があったのでご紹介したい。
プレジデントオンライン8月16日配信記事↓
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【祝ベスト8】「丸刈りはEnjoy Baseballじゃない」センバツ出場"元祖フツー髪"慶應はグラウンド入退場時の"一礼"なしでいい
「さあ、行こうぜ」「元気出そうぜ」の声出しは無駄
(https://president.jp/articles/-/72889 )
(以下略)
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記事によれば要点は
○「Enjoy Baseball」 → 野球は「楽しく」
○意味のない「声出し」はしない
○野球は修行ではない。
グラウンド入退場時に"一礼"しなくていい
○とにかく無意味なことはしない
これだけ見るとまるで自由放任主義のように思えるのだが、実は別途に規則があって厳格に守られている由。マスコミ報道の「慶應は自由な、のびのび野球」云々を全て真に受けては駄目である。
全体練習は生徒の自主性を重んじ考えさせる野球をさせるといっても、実は自主練はガンガンやっている筈である。野球に限らず、強い選手ほど自分のトレーニングは欠かさないからだ。
また慶應の甲子園出場ナインの経歴を見ると、全員リトルリーグや強い中学野球部出身。既に出来上がっている選手揃いなので監督らがやかましく手を施す必要がないのだろう。
ただ注目すべきは記事中にある、甲子園の第2回大会で慶應を優勝に導いた腰本寿監督の言葉。
「~日本の野球は武士道、修行みたいだから、もっと楽しくやろう~」
たしかに日本の高校野球、大学野球は伝統的に「野球は神聖なもの」「“野球道”」という姿勢が支配的だったように思える。一時期の大学野球が特にそんな感じで、今にして思えば「昭和ど根性野球」だった。
例えば記事中の上田前監督がこう言っている。
「グラウンドに入るときに礼をする選手がいます。グラウンドは神聖な場所だから礼をする、と言いますが、教室は違うのか。教室に入るきにいちいち、おじぎをしませんよね。うちは各自の判断で、どっちでもいいんです」
この対極にあるのが明治大学野球部の故・島岡吉郎監督がやっていた「島岡野球」。明大野球部OBの元プロ野球選手たちの証言では、特に早稲田や慶應に負けると全員グラウンドに土下座させられ「グラウンドの神様、すみませんでした」と謝っていた由。
加えて鉄拳制裁や理不尽なしごき等はもはや伝説の域になっている(それでも選手たちがついて行ったのは島岡氏の独特のキャラが人を引き付けた事と、氏のアメとムチの使い方が上手かったから)。
筆者が大学生の頃は東京六大学野球で指導が厳しかったのが明治、東都大学リーグでは駒澤や亜細亜、東洋などが厳しかったと記憶している。
当時はパワハラとかの概念が重大視されない時代だった。また軍隊経験者がたくさん健在だったため、帝国陸軍の初年兵教育や帝国海軍の「精神注入棒」制裁、海軍兵学校のしごき等々の凄さを聞いていたので、当時の明大野球部が厳しい云々もそれほど驚かなかったものである。
まぁしかし、何でもかんでも「○○道」と精神修行の一環にしてしまうのが日本人の特性。慶應義塾高校の「Enjoy Baseball」はそんな姿勢に風穴を空けるきっかけとなるだろう。
ちなみに明大野球部の島岡吉郎監督は大戦中、日本海軍・広東海軍武官府の嘱託(軍属)として、香港、マカオで活躍していた。これについては過去エントリー、
(2016年1月13日エントリー)
(https://tafu1008.hatenablog.com/entry/14630925 )
の中で触れた通りである。
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