賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

台湾総統選挙の憂鬱

 

一昨日13日投開票の臺灣總統立委選舉台湾総統選挙&立法委員選挙)、先ず総統選は与党民進党が辛うじて勝利した。

 

「辛うじて」というのは当選した賴清德氏(副総統候補は蕭美琴氏)の得票率が40.05%で、前回・前々回の選挙に於ける蔡英文氏(現総統)の得票率(2020年:56%、2022年:58%)には到底及ばない数字であるから。

 

しかも2位の国民党・侯友宜候補は33.49%、3位の民衆党・柯文哲候補は26.46%で、対中宥和もしくは対中譲歩の考えを持つ台湾国民が過半数を超えているという事は今後の国際的な台湾支援に影を落とすであろう。

 

中共がそれに乗じて「台湾は中国の不可分の領土」「台湾選挙は中国の内政問題」そして香港で破綻している筈の「一国二制度」等々について上手い国際的PRを繰り広げた場合、「総統選の結果で台湾人の過半数中国共産党の膝下に跪きたがっているのだから仕方ないか・・・」と国際世論が諦めてしまうことも考えられるのである。

 

日本のマスコミ報道の大多数は民進党候補の辛勝に対して対中国姿勢の点からの視点で論じているが、今回の選挙の特徴について筆者が思うに以下の点が重要だったのではないだろうか。

 

A.蔡英文路線が信任されるか否か

B.台湾の有権者全般の傾向: 外交安保<内政重視

C.民衆党の躍進

 

先ずAの蔡英文政権の特徴は、

・経済安全保障の色彩が強まる。

蔡英文政権:中共との関係は競合関係

(※)前国民党政権(馬英九)は対中協調、中共とは補完関係

・台湾の立場は「中華民国台湾」、既にひとつの「国家」

・対米協力重視

中共との対話チャンネルは国民党に及ばないが増やすつもりは無い

・エネルギー政策を重視(ガス増加、再生可能エネルギー推進、石炭減少、脱原子力)

・産業政策は半導体依存からの脱却(他の一大産業育成が大課題)

 

そして今回の賴氏当選で蔡英文路線の継続が信任される事となったが反対勢力を今後どう切り崩してゆくか、手腕が問われることとなろう。

 

次にBに関して、台湾の有権者の関心は青年層の高失業率、不動産価格上昇、福祉介護問題、エネルギー政策が大きな割合を示している。非民進党の票のかなりの部分はこの内政問題に対する反対票の可能性が高い。今後の支持率に大きな影響があるだろう。

 

そしてCについて、柯文哲氏の民衆党の中身は日本の政界に例えてみれば

〖れいわ新選組+参政党+日本保守党+都民ファーストの会+維新〗

といった感じの“ごった煮”政党とでも言えようか。

 

しかしそれを「ヨシ!」とする選挙民がいて、そのマーケットにターゲットを定めた柯文哲氏は中々の策士と言えるだろう。

 

同時に実施された立法委員選挙では、

民進党:51議席

・国民党:52議席

・民衆党: 8議席

無党派: 2議席

という結果で民衆党が重要な局面でキャスティングボードを握る機会が多くなる筈である。策士・柯文哲氏を相手にしなければならない民進党と賴次期総統の憂鬱は如何許りか・・・。

 

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