選挙戦真っ盛りではあるが、一息いれて書きたいことがある。
平成19年10月12日、日本を代表する建築家の一人であった黒川紀章氏(享年73歳)が亡くなってから今年で10年。黒川氏は東京都庁を設計した故丹下健三氏の弟子だが、師の作風から離れて、銀座の「中銀カプセルタワー」に代表される「メタボリズム理論」や「共生の思想」を一貫して主張してきた。
しかし今になって考えると、死期を悟って残りの人生やりたい事をやろうとする気持ちだったのだろう。
筆者も業界関連の一人としてご冥福を祈ると共に、氏が設計した建築作品の内で福岡県内の有名物件を御紹介したい。
<門司港レトロハイマート>
竣工年:平成11年
用途:集合住宅、商業施設、展望室)
延床面積:18,384㎡
竣工当時は「歴史的建築物と調和しないのでは?」という声も聞かれたが、最上階に展望室(有料)も設けられている事から、今では関門海峡の名所の一つとなっている。
(展望室から関門海峡、関門大橋を望む)
北九州に旅行、出張されるならば、是非この門司港レトロハイマートを含む「門司港レトロ」訪問をお薦めする。景観はともかく、我が国の近代史に果たした北九州・門司港の歴史的役割を肌で感じることが出来るからである。
<福岡銀行本店>
所在地: 福岡市中央区天神2-13-1
竣工年: 昭和50年
敷地面積: 4,142m2
建築面積: 2,904m2
延床面積: 30,812m2
施工者 : 株式会社竹中工務店
現在では大型建築物に公開空地があるのは珍しくも何ともないが、この建物の建造当時は画期的な試みであった。黒川氏は公共空間と私的空間とを対立するものでは無く、調和・共存するものとして捉え、公開空地を「中間体」または「媒体空間」「緑空間」と提唱した。
<ホテルキャビナス福岡>
建物自体はよくあるカプセルホテルだが、内部の「個室カプセル」(個室タイプのカプセル部屋)をデザインしたのが黒川氏である。
その他の建築作品としては、
福岡県庁舎
設計者:黒川紀章建築都市設計事務所、日建設計、九州開発計画研究所
所在地:福岡県福岡市博多区東公園
主用途:庁舎
竣工:1981年
主用途:オフィス
竣工:1984年
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