昨21日に日程終了したG7広島サミット、これは各国首脳が「リモート」ではなく「対面」で一堂に会することに重大な意義があった。
しかも従来の複数各国首脳間の国際会議は言わば「顔見世興行」的象徴イベントで中身は事前交渉でほぼ全て決まっていることが多かったが、今回は一連の報道や各国政府関係者の公式Twitter等を見るにG7会期中の各国間会談で相当な意見交換および討議が行われたようである。
これぞまさしく「対面」首脳会談の威力と言えよう。どんなにテクノロジーが進歩したと言っても、この世はやはり「人と人」。人間が社会活動を続けてゆく限り「人に直接会う」という行為が無くなることはあり得ないだろう。
そして今回はG7各国に加えて招待国首脳の参加、そして戦争中のウクライナから最高指揮官のゼレンスキー大統領が「対面」で参加したという事が非常に重い意味を持った。
その中でも極めてインパクトがあったのがウクライナ=インドの首脳会談である。
ロシアに近いもしくは中立的な傾向を見せている「グローバルサウス(Global south)」の雄たるインドのトップと差しで話し合うシーンをいち早く配信したのは、なんとインド政府公式といえるモディ首相のTwitterだった。
この意味については多くの識者がメディア等で述べているので今更ここで書くまでもない。
ところがひとつ謎がある。ゼレンスキー大統領はグローバルサウスの南米重鎮といえるブラジルとは会談しなかったのである。
時事通信5月22日配信記事↓
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「ゼレンスキー氏現れなかった」 ブラジル大統領、G7での会談なしで釈明
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2023052200375&g=int )
ブラジルのルラ大統領は22日午前、広島市内で記者会見し、先進7カ国首脳会議(G7サミット)出席のため来日したウクライナのゼレンスキー大統領と個別会談しなかったことについて、「彼が時間までに現れなかった」と釈明した。ゼレンスキー氏が広島で新興・途上国「グローバルサウス」の首脳と協議を重ねる中で、一部メディアからは、ルラ氏が面会に消極的だったなどと臆測が出ていた。(以下略)
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スケジュールの調整がつかず実現しなかったらしいが、ルラ氏は「向こうがすっぽかした」、対するゼレンスキー氏は「がっかりしているのは彼の方だと思う」と言い分が対立している。
思うにブラジルはインドよりも姿勢がロシア寄りと見られており、ウクライナ側としては会うだけ時間の無駄と思ったのだろうか。
或いは、これはあくまでも筆者の憶測ではあるが、グローバルサウス各国を対ロ非難で一致している西側に取り込むためには事前根回し&首脳間の直接会談に於ける何らかの「お土産」、つまり見返りの条件提示が必要だった筈である。
もしかしたらウクライナ側からの条件提示(これを担保するのは米国とG7各国)に関してインドとは折り合いがついたので会談したが、ブラジルとは事前交渉が上手く行かなかったため、無理に会うのを避けたのでは?とも考えられる。
真相は現時点では何とも言えないものの、本件が後々尾を引く結果になれば損をするのはブラジルであろう。折角の大舞台に居ながら「バスに乗り遅れた」と臍を嚙む未来が待っている。
今回のG7広島サミットはおそらく後世、「21世紀前半に於ける国際間システム変化の分水嶺」的イベントと見做されるようになるだろう。例えれば第二次世界大戦時のヤルタ会談に匹敵する、“戦後処理”と“新・世界秩序”の始まり。
その意味で、昨21日の広島国際会議場での記者会見に於いてゼレンスキー大統領が明確に言及した「ロシアを最後の侵略国にしなければならない」という意味を深く考察しない人が多いのは残念でならない。
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