1999年12月にマカオがポルトガルから中国へ返還されてから今年で25周年を迎える。今や国際的IR(統合型リゾート)都市として押しも押されもしない地位を築いたマカオはその一方で数多くの文化遺産が「世界遺産」として登録され、街の至る所にポルトガルの残照が感じられる。
そのひとつが「アズレージョ」と呼ばれるポルトガルの伝統的な装飾タイルである。代表的なものが青色と白色を使った幾何学紋様や情景描写で、日本でもブームの兆しがある。
(ワイン博物館にて、独特の色使いも趣がある。以下筆者撮影)
元々は北アフリカのイスラム教徒であるムーア人によってもたらされた技術で、8世紀以降約700年にわたるイスラムのイベリア半島支配に伴い、イスラム建築や意匠の一環として伝えられた。
レコンキスタ(キリスト教勢力によるイベリア半島の再征服)後も、ポルトガルの歴代国王が建築物の床や壁の装飾タイルとしてアズレージョを好んで使ったため、近世から現代に至るまでポルトガルの代表的な建築様式の特徴となっている。
ポルトガル人がマカオに上陸したのが1553年。その後ポルトガル人は当時の明朝の地元役人に賄賂を毎年送って居住許可を貰い、1572年には明朝中央政府に毎年500両の地代を支払う事を条件として、公式にマカオの居住権を確保した。
以来、マカオは東南アジアにおけるヨーロッパ勢力の一大貿易拠点として栄え、南ヨーロッパの文化や建築様式がこの東洋の一港町に数百年間、脈々と受け継がれることとなったのである。
このアズレージョ、現在でもマカオ市内の街角や店先のあちこちで見かけることができる。カジノやレジャーとは違うマカオの魅力のひとつである。
また幹線・小路を問わずマカオ内の道路名の標識にもアズレージョが使われているのが面白い。
マカオ半島北部にある観光学専門の「澳門旅遊學院」(今年4月より「澳門旅遊大學」に改称)正門のカラーアズレージョはマカオの成り立ちをモチーフにした興味深いもの。
マカオの魅力は派手なアトラクションが売り物のIRだけではない。こういった長い歴史に裏打ちされた文化遺産やその名残を訪れてみるのもまた楽しいものである。
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