賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

香港の「慰安婦」像撤去について

 

香港政府=中共の規制と弾圧で、あらゆる自由と民主主義的価値観が壊されつつある香港。

 

今月に入っても10日に教職員の民主派組合「香港教育専業人員協会」が解散を発表、15日には長年大規模な遊行(デモ) を主催してきた民主派人権団体「民間人権陣線(民陣)」も解散を発表した。皆全て、例の「国家安全維持法(国安法)」施行で実質的に活動出来なくなってしまった為である。

 

その中共の規制強化は従来中国側に都合の良い主張・行動を行ってきた団体にも及んでいる。在香港日本総領事館の近くに例の韓国「慰安婦」少女像を設置し続けていた民間反日団体「保釣行動委員会」が先週、香港警察の撤去要求に屈して像を撤去したのである。

 

読売新聞8月20日配信記事↓

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【独自】香港の反日団体が「慰安婦」像3体を撤去…「申請なかったと撤去求められた」

(https://www.yomiuri.co.jp/world/20210820-OYT1T50015/ )

【広州=吉岡みゆき】香港の民間反日団体「保釣行動委員会」が、在香港日本総領事館の近くに設置していた、慰安婦を象徴する少女像を撤去した。委員会の関係者が本紙に明らかにした。2017年に設置され、日本政府が香港政府に撤去を申し入れていた。

 少女像は3体あったが、7月末に全て撤去したという。関係者は理由について、「設置にあたって申請がなかったとして、警察から撤去するよう求められたため」と説明した。(以下略)

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この「保釣行動委員会」は沖縄県尖閣諸島を中国領と主張し過激な行動を実行してきた。以前書いたように香港の民間「保釣行動委員会」は2系統あり、ひとつは中国共産党が実質の資金源である団体、もうひとつは「反中国かつ反日」の既存香港民主派を中心とする資金の枯渇した団体である。

 

少女像を設置した「保釣行動委員会」はカネの無いほうの団体で、構成員の多くは最大民主派政党「民主黨」や「工黨」、そして「社民連」といった従来型の“民主派”政党の役員や支持者が占めている。反中共、反香港政府という立場は“民主派”だが、それ以外の政策や主張は反日パヨクと大同小異である。

 

9年前尖閣に強行上陸=領土侵犯した「保釣行動委員会」の香港人活動家は、上記「社民連」所属の地方議員らだった。また穏健派の最大民主派政党「民主黨」ですら、尖閣の件で当時の代表・何俊仁立法議員が日本領事館に侵入しようと殴り込みをかけるという暴挙を演じている。

 

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尖閣に強行上陸後、香港に戻った「保釣」=民主派メンバー)

 

前にも書いたがこのように「反中国かつ反日」の既存香港民主派は中共・香港政府・親中共派にとって、香港市民の“ガス抜き”に使える都合の良い存在に過ぎなかった。従って中共の直接的支配が浸透しつつある現在の香港に於いては、勝手に韓国と関わり「慰安婦」像を置くような民主派系「保釣行動委員会」は中共=香港政府にとって有害な団体でしかないのである。

 

中共に限らず権力者は、明らかな敵よりも自派内の人物や組織に対する粛清を優先させる事がままある。

 

例えば日本敗戦後に中国国民党重慶政府)が真っ先に行ったのは同じ中国人「漢奸」の摘発粛清だった。「漢奸」とは売国奴といった意味だが単に対日協力者を指すのではなく、国民党内部や協力者でも重慶側にとって好ましく思われない者、重慶側要人と確たる繋がりがない者も「漢奸」というレッテルで処断された。

 

我が国のケースでは、明治維新時の「赤報隊」事件がそれ。薩摩の西郷隆盛らの支援で勤王浪士らが結成した組織だったが、新政府の統制を外れた振る舞いが問題視され「偽官軍」として処断された。「狡兎死して走狗烹らる」という故事成語は時代を超えた真実なのだろう。

 

三島由紀夫の戯曲『わが友ヒットラーより、

クルップ「アドルフ、よくやったよ。君は左を斬り、返す刀で右を斬ったのだ」

ヒットラー「そうです、政治は中道を行かなければなりません」

 

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