賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

二人の「E.S.」と中共

 
偶然なのか、それとも歴史のいたずらなのか、世紀をまたいで中共に関わるイニシャル「E.S.」の二人の米国人がいる。
 
国家安全保障局(NSA)が世界の指導者35人の通話を盗聴していたと英紙ガーディアンが報道した件、ネタ元は例のCIA元職員、エドワード・ジョセフ・スノーデンEdward Joseph Snowden )、つまり「E.S.」
 
周知の通り、6月の米中首脳会談を狙い撃ちするようにスノーデンは米国機関のハッキング問題を暴露し、結果として中共が有利になるような情勢へともってゆこうとした。さらに一連のスノーデンの告発は、事実としても米国とその同盟国間に亀裂を入れ、さらに拡げようとするものばかり。ところが中国と中国共産党絡みの話は一向に出て来ず、間接的に中共を助けるものである。
 
スノーデンと中共との直接的な関わりは今のところ発見されていない。しかし彼の複数の行為により生じた結果から見れば、一番利益を蒙っているのが誰かは明らか。ある意味で「素晴らしい工作員」と言えるかも知れない。
 
●そしてもう一人の「E.S.」とは、前世紀に中国共産党毛沢東を紹介した著作で有名な、エドガースノーEdgar Snow19057 17 - 1972215日)である。
 
第二次世界大戦前に中国入りしたスノーは、当時欧米諸国にその実態があまり知られていなかった「中国共産党」をPRし、「毛沢東」を絶賛する『中国の赤い星』を著した。
 
もっともその内容は、1936年に最初のインタビューを行った毛沢東の言う事を鵜呑みにしたもの。中国、なかんずく「中国共産党=善玉」、「日本=悪の侵略者」という視点が貫かれており、現代では史的検証に耐えられない代物である。
 
スノーが中国に接近するきっかけを作ったのは、孫文夫人だった在米の宋慶齢である。宋慶齢は親しかったルーズベルト大統領夫人エレノアと共に「反日キャンペーン」行脚を行うなど、アメリカの世論を反日・援中へと誘導することに努め、そして日本の対米参戦を引き出すことに成功した。
 
ちなみにルーズベルト大統領の周囲とホワイトハウス共産党関係者で固められていた。夫人のエノレアはソ連コミンテルンのシンパで、側近のハリー・デクスター・ホワイト財務次官補とロークリン・カリー大統領特別補佐官は第二次世界大戦後、ソ連のスパイだったことが判明する。
 
日本の対米参戦を誘導した、もう一群のソ連スパイは、近衛文麿内閣の内閣嘱託だった尾崎秀実(コードネーム「オットー」)と、独紙特派員リヒャルト・ゾルゲである。ゾルゲに操られた尾崎は日本の世論を「シナ伐つべし」の日華事変拡大へと誘導し、対ソ圧力の軽減に成功。さらに独ソ戦で苦しむソ連を助けるための、米国の対ソ援助の公然化、そのために必要な日本の対米参戦を演出した。
 
当時の日本の指導層が対ソ「北進論」と対中・対英・そして対ソに通じる「西方作戦」を捨てて、日華事変泥沼化の挙句の「南進論」選択と米国参戦を引き出す「真珠湾攻撃」、その後ガダルカナルニューギニア等の南太平洋方面に戦線拡大していった陰には、尾崎らソ連に繋がる知識層と陸軍統制派の一部、革新派官僚、“敗戦革命”に憑りつかれた海軍英米派の蠢動があった。
 
結局、第二次世界大戦スターリンソ連コミンテルン毛沢東率いる中国共産党が絵図を描き、最大の利益を得た。“勝者”の筈のルーズベルトや蔣介石は上手く踊らされたに過ぎず、またイギリスも自己の生存は果たし得たものの植民地の大半を喪い、経済力も疲弊して、20世紀後半は国際社会の主役から転落していった。
 
前述のように「E.S.」エドガー・スノー1936年に毛沢東と会った後も、39年、60年、65年、70年と会見を続けている。なまじ「米国人」「ジャーナリスト」であったが故に、毛沢東中共の宣伝工作に利用され、また本人もメッセンジャーとして中共の血塗られた事実を隠蔽する手助けをした。中共が捏造した『田中上奏文』を本物と信じ、自分がその場にいなかったにも関わらず虚構の『南京大虐殺』で日本を陥れる役割を担ったのも、その一環である。
 
このエドガー・スノーのように表立って特定勢力を擁護し宣伝するという手法の対極にあるのが、尾崎秀実のように共産主義者でありながら国粋主義者然として「中国を懲らしめろ」とシナ事変拡大を煽り、世論形成まで行うという手法。いずれにしても目的は同じである。
 
そして現代の「E.S.」エドワード・スノーデンが行っている暴露は、果たして誰の為のものなのか。
 
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