賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

【カジノ】橋下市長の不見識

 
『賭人がゆく』、こんなタイトルのブログを出しているから皆様お判りの事と思うが、私はカジノ肯定論者であり、賭博肯定論者である。
 
以前(2008/9/24)イザ!ブログの方で書いたエントリー、
これが私の思想そのものなので、復習も兼ねて再掲してみたい。
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保守系ギャンブラー”を標榜する筆者だが、賭博の「賭」の字が今迄常用漢字外だったとは迂闊にも知らなかった。
 
「刹」「椎」「賭」「遡」の4字追加 常用漢字
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/180451/ )
 社会生活でよく使われる漢字の目安「常用漢字表」の改定作業を進めている文化審議会の漢字小委員会は22日、188字を新規追加し、現行の常用漢字から5字を外すとした暫定案をあらためて審議し、「蒙」を除外した上で、古刹(こさつ)の「刹」、脊椎(せきつい)の「椎」、賭博の「賭」、遡上(そじょう)の「遡」の4字を新たに加える案をまとめた。~
 
カジノに限らず「賭ける」という行為は、人間にとって欠かすことの出来ないものである。
 
個人でいえば就職や結婚もその範疇に入るだろうし、会社経営ではプロジェクトの成否や新分野への参入、政治家にとっては選挙と政策実施後の成否、そして国家レベルでの最たるものが「戦争」という事になるだろう。
 
しかし孫子計篇の冒頭言に曰く、
 
「兵は国の大事なり。 死生の地、存亡の道、察せざる可からざるなり」
 
戦争は国家の一大事であって、国民の生死、国家の存亡が係っているから、その実行についてはよくよく考えねばならない)とあり、
 
また「算多きは勝ち、少なきは勝たず」とも書かれているように、すべての戦略を実行するに際して必要なのは「情報収集」と「分析」、そして冷徹な判断という合理性の追求である。そこにあるのは、「賭け」の部分を極力排除しようとする姿勢といえよう。
 
麻生太郎の愛読書である『ゴルゴ13』、デューク東郷の仕事に「賭け」の領域は存在しないに等しい。つまり依頼された仕事に番狂わせが生じないだけの徹底した調査と対策が講じられているからである。
 
ところが、そうは言っても世の中には、計測不可能な部分が数多く残っている。
 
例えば金融では、現代投資理論を駆使したヘッジ・ファンドが意外にあっけなく潰れるのは何故か。また先日潰れたリーマン・ブラザーズのように、多数のアナリストを擁しながら破綻してしまう会社もある。
 
政治家にとっては選挙が「戦争」、時流に乗った一発勝負は長続きしない。地歩を確実に固めて、少しでも「賭け」の部分を減らしてゆく事が勝敗を分けるのは誰しも判っているが、それでも番狂わせが起きるのは皆さんご承知のところである。
 
つまり「賭ける」という行為は計測困難なものに挑むという事であり、極めて人間らしいものではないだろうか。そうであるならばプラスアルファの部分で勝ち抜く能力、所謂「勝負強さ」を身に付けたいものである。
 
私がマカオで賭博を始めたのもそんな理由からであった。海外のカジノを選んだのはイカサマが少なそうだったから。
 
ギャンブルは勝ってなんぼの世界だが、実は「金儲け」よりも勝負の流れ、「運」の流れを読むのが面白い。しかしそれを自分のものとするためには、手前のカネで勝負すべきなのだ。
 
『良識ある人々』から顰蹙を買うのは承知で断言するが、「勝負強く」ありたいと願う人にとって勝負ごと、賭け事は絶対に必要だと思う。
 
そこには人間の根源的な強さを呼び覚ますものがある。常用漢字に「賭」の字が追加された意義を評価する所以である。
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但し私が対象とするのは、スポーツ選手、囲碁・将棋の棋士などの『プロ勝負師』や、あくまでも「勝負強く」ありたいと願う人たちである。国民全員に勧めている訳ではない。
 
更に言うなら、女子供までをギャンブルに誘い込む奴は邪道もいいところ。そんな博打打ちがいたとしたら、クズの極致と言えるだろう。
 
ところが大規模地方自治体の首長をやっている人間が、
「~小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、全国民を勝負師にする~」
と公言し、そんな歪んだ思想の下にカジノ誘致を進めようとしている。
 
大阪府知事にて現・大阪市長橋下徹氏その人である。
 
読売新聞1216日配信記事↓
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橋下氏「夢洲にカジノを」市港湾局との意見交換で言及
 カジノ誘致を目指す大阪市橋下徹新市長が、候補地として、大阪湾岸の人工島・夢洲地区(此花区)を検討していることがわかった。市長選で敗れた平松邦夫市長が夢洲で進めていた液化天然ガス発電所の新設計画を凍結してカジノ予定地とすることも想定しているとみられる。
 関係者によると、橋下新市長は9日、市港湾局との意見交換の中で「夢洲カジノを誘致することは可能か」と発言。従来、大阪ベイエリアへの誘致に意欲を示していた橋下新市長が具体的な候補地に言及するのは初めて。港湾局側は「広大な敷地はある」と応じたという。
 夢洲は、埋め立てが完了すれば総面積390ヘクタール。企業誘致を進めている産業・物流ゾーンやコンテナターミナルがある先行開発地区(140ヘクタール)と、まだ整地されていない将来開発地区(250ヘクタール)がある。鉄道はないが、舞洲など隣接の埋め立て地と橋やトンネルでつながっている。
 橋下新市長は市長選公約で、「多くの集客や高い経済波及効果が期待できる統合型リゾート」としてカジノの立地促進を明記。刑法上は賭博とみなされ、実現には特別法の制定が必要となるが、超党派議員連盟が国内で合法化する議員立法をまとめ、早期成立を目指している。(以上引用)
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2010/12/24のイザ!ブログ拙エントリー、
で書いたように、橋下氏はどうやらラスベガス資本の「ウィン」など大手カジノ業者を大阪に誘致したい意向を持っているようだが、安易なカジノ誘致で大阪の活性化を図る策は本末転倒。最初から「財源確保のため」という下心を出している時点で、終わっている。
 
橋下氏は先ず、真っ当な経済施策でかつての“商都”大阪の活気を取り戻す絵図を描くべきである。何故なら、カジノデベロッパーはカネの匂いを嗅ぎ分ける嗅覚を持っているからで、きちんとした方針を立て、然る後にリゾートカジノを誘致すれば、カネは自然に転がり込んでくるのだから。
 
ところが相変わらず、橋下氏は「先ずカジノありき」という考えのようだ。それは博打というものに対する、甘い認識に起因しているからではないか。
 
朝日新聞20101028234分配信記事↓
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橋下知事「小さい頃からギャンブルを。国民を勝負師に」
 大阪府橋下徹知事は28日、カジノの合法化をめざす国会議員らを招いた「ギャンブリング*ゲーミング学会」の大会に出席し、「ギャンブルを遠ざける故、坊ちゃんの国になった。小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、全国民を勝負師にするためにも、カジノ法案を通してください」と議員らにカジノ合法化を求めた。(以下略)
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橋下氏は博打の本質をまったく理解していない。彼は家庭環境ほかでそれなりに苦労されたようだが、カジノの経済効果に目を奪われていて、博打の恐ろしさを知らない“坊ちゃんでしかない。まさに不見識の極みであろう。
 
当ブログが賭博に関してお薦めしている映画、『新麻雀放浪記(監督:雑賀俊郎、製作:ケイエスエスケイエスエス販売、平成11年作品)。
阿佐田哲也氏原作・『新麻雀放浪記』(文春文庫)を映画化したものである。
 
後半で主人公の坊や哲(火野正平がベテラン相手の麻雀勝負に挑もうとする若者“ヒョッコ”(奥田智彦)へ語る台詞が、博打の本質を的確に表している。
 
「博打っていうのはよ、失くすのは金だけじゃねえぞ。てめぇの体、親戚、友だち。それだけじゃない。女、未来、心。それで、ずたずたになった命だけが残る。下手すりゃよ、その命も持ってかれちまう。それでもいいか?」
 
橋下氏は果たして、この過酷な博打の現実を理解しているのだろうか?
 
私にはとても、そうは見えないのだが。
 
 
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