賭狂がゆく

港澳(香港、マカオ)往来28年、人生如賭博

今月の一冊『帝国陸軍激闘録~勝利への突撃』

 
 
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大東亜戦争が終わって今年で68年になる。私は昭和37年生まれなので当然あの戦争は知らないが、身内や周囲には戦争体験者(空襲に遭った民間人ではなく、実際に戦地へ出征した人)がごろごろしていた。
 
父方の祖父は近衛師団下士官で、近衛歩兵第一聯隊・山砲中隊の分隊長として二度応召、南支で戦った。一番上の伯父貴も陸軍歩兵として南支へ出征し、最前線から生還した。父の従兄は海軍予科練出身で南方から生還。母方の親戚は全て陸軍だった。
 
近所や学校でも元軍人は多かった。小学校の校長は元零戦搭乗員、用務員さんは歩兵で支那より復員。通っていた剣道道場の大先輩も元陸軍下士官で、南支で数人斬った経験者だった。元陸軍曹長で南支から復員した近所のおもちゃ屋のご主人は、受賞した「金鵄勲章」を見せてくれたものである。
 
陸海軍の比率は、圧倒的に陸軍が多かった。そして皆、実戦経験者だったのに戦闘の状況については余り語らなかった。(悲惨すぎて)小中学生に話す内容ではないのか・・・と当時は思っていたが、先年亡くなったダニエル・イノウエ上院議員日系人部隊として有名な米陸軍442連隊の士官として、ヨーロッパ戦線に従軍)が生前インタビューでこう語っているのを読んで、彼らが語らなかった心情の一端に触れた思いがした。
 
「~私は歩兵として従軍しました。歩兵の仕事は相手を直接殺すことです。・・・どの戦闘でドイツ兵を何人、どう殺したかは、私だけの秘密です・・・」
 
戦争とは国家意思に基づくものであって「私闘」ではないが、個々の戦闘については「個々人」としての将兵の裁量によるところ大である。従って戦争による個人の殺人記録は公文書に記されることがあっても、それを他人に何度も公言するのは憚られるものがあるのだろう。
 
そうは言っても、戦争当事者の体験と証言はやはり、後世に語り伝えられなければならないのではないだろうか。歴史とは事実の伝承であると同時に、民族の記憶の伝承でもある。それを断絶され、別の記憶にすり替えられた国家・民族には、自虐的史観が溢れて悲惨な末路が待ち構えているのだ。
 
大東亜戦争における日本軍将兵の精強さは、内外の証言を見ても明らかである。しかし我が国では戦場体験者の証言が前述の理由もあってか、諸外国よりも少ないように見受けられる。また自虐史観による教育が行き届き、反日的姿勢のマスコミによる恣意的な戦争の捉え方が溢れた結果、帝国陸海軍の実相が正確に伝わっていないのである。
 
従って後世の私たちは、決して多くはない資料を選びながら日本軍の真実を理解しなければならないのである。特に「悪役」に仕立て上げられた日本陸軍については、なお一層の実相理解が求められるのではないだろうか。
 
冒頭に画像をアップした『帝国陸軍激闘録~勝利への突撃』は、学研が発行する月刊誌「歴史群像」のコミック版である。たかがマンガと侮るなかれ、そこには帝国陸軍の指揮官や将兵たちの熱い心情が描かれている。
 
本書が大東亜戦争の理解の一助になるものと思われるので、今回ご紹介する次第である。
 
発行元: 株式会社 学研ハブリッシング、定価480円、平成25年5月発行
 
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